慣れ始めた頃、午後事務所で書類の計算をしていました。
そしたらある同僚が、女性を連れて戻ってきたんです。
そんな光景は何度か見ていましたが、あまり変には思っていなかったんです。
でもその女性を見た時は違いました。
かなり動揺していたし明らかに脅えていたからです。
その女性は奥にある社長室に入って、しばらくしてから同僚だけ出てきました。
気になったんで聞いてみたんです。
「あの人も借金?」
「あぁ~そうだよ。
もう首が回らないんだよ。
しかも既婚者で」
もう首が回らないんだよ。
しかも既婚者で」
「社長と何話してんの?」
「分からんけど、仕事先決めてんじゃね~かな」
風俗とかで働くのかなって思っていました。
でもそんなことしてて大丈夫かってドキドキしました。
それからそんな女性を何人も見ました。
酷い時は月に5人ぐらい来ました。
選んでいるのか来る女性はみんな可愛いか美人なんです。
夜の仕事でも十分イケるぐらいの見た目ばっかりです。
まあ~そんな人達だから、本気出せば借金返せるんだろうぐらいに思ってました。
働き始めて2年ぐらいして、俺を教育してた先輩が退社しました。
送別会が終わって俺がタクシーで送り、初めて先輩の家にあがりました。
そこで初めて先輩が話してくれたんです。
「俺は5年でかなり貯金したから、お前も我慢して貯金しまくれ」「あそこには5年以上いちゃダメだぞ」「社長とか上の人間に深入りするなよ」
今までこんな事をいう人じゃなかったんで、マジでビックリしました。
だから「何でですか?」って聞いたんです。
でもハッキリ言ってくれなくて、最後にこんな事を言われました。
「俺の仕事を見てきたよな?お前は上手く真似できるだろ?それで通すんだぞ」「社長室に女の人が来てから数日間は、夜呼ばれても行っちゃダメだからな」
ハッキリ教えてくれない分意味が分からない感じはありましたが、この人が言うならヤバい事なんだろうって薄々気が付いていました。
だからその日から俺は先輩に言われた通り、必死に貯金を始めたんです。
かなり給料は良かったので、独身の俺はほぼ丸々貯金し始めました。
先輩が辞めて数ヶ月後、俺は1人で仕事をこなしていました。
そんなある日また女性が連れてこられて、次の日社長から夜に電話があったんです。
今までこんな事なかったけど、その時先輩の話を思い出しました。
だから謝りまくってお断りしたんです。
でもそんな電話が何回も続いて、だんだん断れなくなってきちゃったんです。
もう先輩は携帯も変えていたし誰にも相談できなくて、ある時承諾しちゃったんですよ。
言われたスナックに行くと、数日前に呼ばれていた女性がいました。
隣には社長と副社長がいて、二人で女性を挟んで飲んでいました。
副社長がいうには、23歳で旦那のいる人妻の子無し。
借金が返せないから、来週から風俗で働くって言っていました。
聞いてみると23歳のくせに300万を超えていたんです。
それはパチンコやスロットで借金したみたいです。
旦那は知らないから、内密に仕事をするって言っていました。
いろいろ合わせて、月に5万以上返済しなきゃいけないらしいのにここ数カ月は全く払えていないとか。
何でこんな席に呼ばれたのかは、その後分かりました。
社長はママに声をかけ、全員がそのまま奥の方へ呼ばれたんです。
小さな階段があって上がっていくと、そこには2つの部屋がありました。
1つは応接間のようにソファーなどがあり、もう一つは完全に寝室です。
この寝室が異様でした。
ダブルベッドが部屋の中央にあって、それを照らすように何ヶ所にも照明があるんです。
変なロッカーみたいな箱が1つあるだけで、他には何もありません。
なんかスタジオみたいな感じでした。
もしかしてここでこの女性とヤリ始めるのか・・って気が付きました。
嫌な予感はあったけど、スナッックの上にこんな部屋があるなんて知りませんでしたし、ホテルへ行くっていうなら断って帰ろうって思ってたのに、俺はまず隣の応接間に副社長と二人で残されました。
副社長はニヤニヤして、酒を飲んでいました。