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まだ中学生で田舎に住んでいた頃にボクは街の小さな塾に通っていました。


その塾は学年に関係なく大広間で学力別のプリントをもらい、

自分で問題を解いて先生に採点をしてもらって、

合格ラインに達すると勝手に帰っていくという奇妙なシステムだった。


先生は授業をして教えてくれるわけではなく、

学校で習っていないことだったりすると生徒同士で教え合うということになっていたので、

騒ぎさえしなければ私語も許されていた。


奇妙なシステムだったが、何故かそれなりの学力はつくので、ボクは小学生の頃からそこに通わされていた。


友達にその話をしたら変な塾だと思われたようで、知り合いはほとんどおらず、

周りには小学生のガキんちょばっかりで、塾に着くと黙々と問題を解いて、

いかに早く帰っていくかというのがボクの週に2日の日課だった。


中2の夏休みが終わった頃、珍しくボクと同じ中学校の制服を着た女子生徒2人がその塾に通い始めた。



そのうちの1人が凄く綺麗な女の子で、その子が初めて大広間に入ってきた時には、思わず二度見してしまったほどだった。


先生と何を話しているのかが気になって、ボクの顔は別の方向を向いているのに全神経が耳に集中していた。


漏れ聞こえて来る声に神経を尖らせて聞いていると、どうやら3年生のようだった。


綺麗な方の子の名前がナツミと聞こえた。


もう一人も続いて名乗っていたが、どうでも良かった。


二人は同じクラスの友達で、高校受験を前に塾に駆け込んできたという何とも呑気な感じの二人だった。


それからは俄然、塾に通うのが楽しくなった。


学校で二人を見かけることもあったが、学年が違うので当然にクラスも違う。


そこへいくと塾は学年に関係なく大広間で好きな席について問題を解くだけなので、二人がたまたま近くに座って時々クスクス笑いながら勉強をしていると、問題に集中できなくて困った。


ボクは自分の中で勝手にその子のことを"なっちゃん"と呼んでいて、いつか話ができたらいいな、などと夢想しては日々を過ごしていた。


そんなある日、二人の声がボクの耳に届いた。


「ねぇ、ナツミぃ、これどうやって解くんだろう」

「そんなの私に聞かれたってわからないよ」

あまり深刻さは伝わってこなかったものの、二人の会話を聞いているとどうやらボクにも解けそうな問題のようだった。


ボクは思わず、二人に声を掛けていた。

二人というよりも綺麗な方の子に。


「あの、なっちゃん。

見せてもらってもいいかな」

思わず自分の中で呼んでいる呼び方をしてしまい、しまったと思ったが慌てては余計に格好が悪いと思って、平静を装った。


イヤな汗が脇の下をどっと流れていたのは、言うまでもない。


最初は怪訝そうな表情を見せていたなっちゃんだったが、ボクの制服についた校章と襟章を見てニッコリ笑うと、

「同じ学校の人だよね」

と言ってプリントを見せてきた。


問題はボクが最近学習したばかりのものだった。


「これはね・・・」

さらさらと問題を解いてみせると、二人は顔を見合わせて、

「すごぉーい!」

と驚いて見せた。


"いや、ボク、学年一個下なんだけど、二人とも高校受験大丈夫?"

そう思ってしまったが、口にはしなかった。


そんなことがあってから、いつもではないのだけど、席が近くになったりすると二人と話をするようになり、それまでは早く帰ることに命を賭けていたのに、彼女たちのペースに合わせてワザとゆっくり問題を解くようになっていた。


帰るタイミングが一緒になったりすると、ボクは自転車を押しながら彼女たちと一緒に歩いて帰り道の途中までのお喋りを楽しんだ。


なっちゃんに淡い恋心を抱いている自分に気がついていたけど、来年は受験だし、女の子に現を抜かしているわけにはいかないと自分の中で気持ちに蓋をしようとしていた。


そんなわけで彼女たちの受験シーズンも終わり、ボクからすると二人は奇跡的に無事に公立の高校に受かると、あっという間に彼女たちの卒業式の日を迎えた。


卒業式が行われる中、なっちゃんに一言

"おめでとう"

と言いたくて体育館の外で待っていたら、二人は目ざとくボクを見つけて、きゃあきゃあ笑いながらボクの前にやってきた。


「卒業おめでとう」

「それは私にも言ってくれてるのかしら」

一緒にいる友達が茶化して見せた。


「もちろんだよ」

心の奥底を見透かされて焦ったボクは、少し慌てていった。


するとなんだかおかしな空気になって、なっちゃんが何かを言いたそうにモジモジしてた。


さらに沈黙が流れると、

「ああ、もう焦れったいなぁ」

友達がそう言って、

「この子がねぇ、田中くんの第二ボタンが欲しいんだって」


"えっ?それって逆じゃないの?卒業していく先輩の制服の第二ボタンを後輩の女子がもらうんじゃないの?"

そんな風に思ったが、ボクの手は自然に胸の第二ボタンに伸びていて、勢いよく引っ張るとブツという音がしてボタンが取れた。


力任せに引っ張ったものだから、ボタンの裏についた糸を通す輪っかが曲がってしまった。


制服の生地の方が破れてないか途端に心配になったけど、そんなことはおくびにも出さずに、僕はなっちゃんに向かってボタンを差し出した。


「ほら、受け取りなよ」

友達に促されて、おずおずと手を伸ばして見せたなっちゃんにボタンを渡すと、

「ほら、ナツミも渡すものがあるんでしょ」

そう言って友達がせっついてみせた。


なっちゃんはセーラー服の胸のポケットから二つ折りにした小さな紙を取り出して、遠慮がちにボクの方に差し出した。


紙には女の子らしい綺麗な文字で住所と携帯の電話番号が書いてあって、一言

"好きです"

と添えられていた。


それを見た瞬間、ボクは舞い上がってしまった。


思いもよらないなっちゃんからの告白を受けて、飛び上がるほど嬉しかったくせに、ボクの口をついて出た言葉は、

「ボク、来年受験だし・・・」

だった。


なっちゃんの顔に落胆の色が現れ、友達は呆れたようにただボクを見つめていた。


気まずい沈黙が流れて、ようやく口を開いたのは友達だった。


「・・・田中くん!それはないよ!ナツミのことなっちゃんて呼ぶくせに・・・。

私のことなんて名前で呼んだこともないじゃん。

そんなの、女の子は勘違いするよ!」

ボクは自分の口をついて出た言葉を訂正しようと慌てたが、後の祭りだった。


「ナツミ、こんなヤツ放っておいて、行こ」

友達は怒った目をしてなっちゃんの背中を押すと、なっちゃんは少し潤んだ目をして軽く頷くと、くるりと背を向けてボクをおいて去っていった。


ボクはしばらく呆然とその場に立ち尽くしていた。


春休みの間に電話をしようと、悶々とした日々を過ごした。


けど、意気地なしのボクにはたった一本の電話が掛けられなかった。


そんな風に春休みを過ごしてしまったボクは、しばらくはショックで立ち直れなかったけど、三年生になってからは受験生として毎日が忙しく、あっと言う間に一年が過ぎていった。


ボクは第一志望の高校に合格し、桜の花の咲く中、高校生になった。


それまでの自転車通学から定期券を持った電車通学になった。


なっちゃんのことも時々思い出してはいたけど、どうしようもなかった。


電話番号を書いた紙は後生大事に持っていたけど、今さら電話をかける勇気はなかった。


通学沿線にはたくさんの学校があって、電車にはいつもいろいろな学生服を着た学生が乗り込んできたり、降りて行ったりしていた。


夏が過ぎ、ツクツクボーシの声も聞こえなくなった二学期のある日のこと、ボクが立っていた電車の扉の一つ向こう側に、綺麗なんだけどアンニュイなオーラを全身に纏った金髪の女子高生が立っていた。


どこかで見た顔だと思ってついジロジロ見ていたら、目が合ってしまって、慌てて目を逸らしたのだけど、次に目を上げた時には女の子が目の前に立っていた。


"やばい、絡まれる!"

ボクは咄嗟にそう思って、自分の不用意さを悔いた。


「田中くん、志望校に受かったんだ」

目の前に立った女子高生はボクを名前で呼んだ。


誰だか思い出せないという表情を浮かべていたボクの顔を見たのだろう。


女子高生は、小さく溜息を吐いて見せて、

「ナツミのことは覚えていても、私のことは忘れちゃった?」

そう言われてようやく相手がいつもなっちゃんの隣にいた友達だと気がついた。


「ワカちゃん?」

咄嗟になっちゃんが呼んでいた呼び名が口をついて出た。


名前を呼ばれて、相手はちょっと面食らったような驚いた表情をして見せたが、直ぐに気を取り直して、

「なんだ、名前は覚えててくれたんだ・・・、へぇ」

と意外そうに言ってみせた。


でも、ワカちゃんがこんなに綺麗な子だとは思っていなかった。


中学時代はずっとメガネを掛けていて、今より10キロは太っていたと思う。


当然に髪は金色ではなかった。


「元気だった?」

そう聞いてみると、ワカちゃんは少し意地悪そうな目つきになって、

「それって、ナツミのこと?それとも私のこと?」

と聞き返してきて、ホントはなっちゃんのことだったけど、

「ワカちゃんのことだよ」

と答えた。

一瞬、言葉に詰まったように間が空いて、

「うん、元気だよ」

ワカちゃんはそう答えた。


けど、それ以上は何を話したらいいのか判らなくて、沈黙が続いた。


するとワカちゃんは、ボクのことをジロジロ見ながら、

「それで?受験は終わったのに、どうしてナツミに連絡してこないのよ」

「えっ?」

「"えっ?"じゃないよ。

ナツミはずっと田中くんからの連絡、待ってたんだよ」

ボクが驚いて何も言えずにいると、

「あれからナツミは、"受験が終わったら田中くんはきっと連絡をくれる"、そう言ってずっと携帯ばっかり気にしてたんだよ」

ボクはなっちゃんがボクの本当の気持ちを見抜いてくれていただけで嬉しかった。


けれど、ちょっと気になっていた。


ワカちゃんは全部過去形で喋っている。


「あの、なっちゃんはどうしてるの?」

ボクはワカちゃんの機嫌を損ねないように、遠慮がちに聞いてみた。


車窓の外に目をやりながら、ワカちゃんはしばらく黙っていたけど、ようやく口を開いた。


「死んじゃったよ」

「えっ?」

ボクは自分の耳を疑った。


「ずっと入院してたんだけど、春が来る前に逝っちゃった」

ボクは頭の中が真っ白になった。


ワカちゃんから聞いたところでは、なっちゃんは高校に入ってしばらくすると、悪い病気に掛かって直ぐに入院し、ずっと闘病生活を続けていたらしい。


ワカちゃんがお見舞いに行くと決まってボクの話題になって、なっちゃんはいつもいつもボクの身を案じてくれていたらしい。


「もうそろそろ合格発表の時期だよね。

田中くんどうだったのかな」

ワカちゃんとそんな話をした後、なっちゃんは眠るように逝ってしまったという。


ショックのあまりボクは涙も出なかった。


でも、やっとの思いでその週末になっちゃんのお墓に連れていってもらうことをワカちゃんと約束して、ワカちゃんとは別れた。


お墓参りの前日、なっちゃんからメールが届いた時は心底驚いた。


化けて出たのかと恐る恐るメールを読むとワカちゃんからだった。


『明日、予定通りで大丈夫?』

どうしてなっちゃんの番号からワカちゃんのメールが届くのか解からなかったけど、ちょっと怖かったので、一言、『り』と返しておいた。


待ち合わせの場所に着いてみると、ワカちゃんはもうボクを待ってくれていた。


「おはよう」

「おはよう」

「あんまり寝てないって顔してるね。

酷い顔してるよ」

そう言いながらワカちゃんは目的地に向かう電車のホームを指さして、歩き出した。


一時間ほど電車に揺られている間に、ワカちゃんからなっちゃんの話をさらに聞いた。


「ナツミはずっと、『田中くんは照れていただけだと思うの』って言ってた。

そうなの?」

ボクは今さら嘘を言っても仕方がないと思って素直に頷いた。


「へぇ、そうなんだ・・・」

ワカちゃんはなっちゃんが入院してしばらくしてから願を掛けていて、大好きな甘いものを食べるのを控えていたらしい。


「半年以上、甘いものを食べずにいるとね、ナツミが死んでからも食べたいとは思わなくて、結構痩せちゃった」

道理であの頃のワカちゃんの面影がないわけだった。


「ナツミが死んでから、ご両親にお願いしてナツミの携帯番号を譲ってもらったの」

「どうして?」

「田中くんから連絡があったら、ナツミのこと伝えてあげないと、って思ったの」


ボクは項垂れるしかなかった。


「それなのにちっとも連絡してこないんだもの、このバカ」

ボクはワカちゃんに何も言い返せなかった。


電車を降りて、線路沿いに銀杏並木をどんどん歩いていくと、すごく大きな墓地が目の前に現れた。


ワカちゃんはもう何度も訪れているのか、慣れた足取りでお墓の間を通って進んでいった。


なっちゃんの家のお墓はとても立派だった。


ボクとワカちゃんは墓地の入り口で買ったお供えの線香とお花を供えると、なっちゃんの墓石の前に立って手を合わせた。


"なっちゃん、お見舞いにもいかずにゴメン"

ボクはなっちゃんのお墓の前で随分長い間、手を合わせていた。


「ねぇ、ナツミと何を話していたの?」

帰りの電車の中で、ワカちゃんはボクに尋ねてきた。


でもボクはそれには答えずに、黙って照れた笑いをするしかなかった。


しばらく世間話をしていたのだけど、前の日に眠れなかったせいか、揺られる電車の中でボクは眠りに落ちてしまった。


夢の中でなっちゃんが笑っていた。


今度こそなっちゃんとお喋りをしようと話しかけた瞬間、電車が大きく揺れてボクは目を覚ました。


気がつくと、ボクはワカちゃんの肩を借りて眠っていたらしい。


「ほら、みっともないから涙を拭きなよ」

ワカちゃんにハンカチを差し出されて初めてボクは自分が夢の中で泣いていたことに気がついた。


朝の待ち合わせ場所まで戻ってきたところで、ボクはワカちゃんに言った。


「今日は、ありがとう」

「田中くんも元気でね」

ワカちゃんが胸の前で小さく手を振った。


ボクは家へと向かう電車のホームに向かって歩き出した。


ホームの階段を上がる時、ふと待ち合わせ場所を振り返って見ると、ワカちゃんは同じ場所にずっと立ったままボクを見送ってくれていた。


ボクが手を振ると、ワカちゃんは頷いたような気がしたが、遠すぎてよく解からなかった。


でもボクは、妙にすっきりした気分になっていた。


ボクはそれからも辛いことや嫌なことがある度に、1人でなっちゃんのところへ行った。


あっと言う間に正月が過ぎて、高校生活の一年目を終えた春休みの初日、ワカちゃんからメールが届いた。


『明日、ナツミの命日だけど、一緒にお墓参りにいく?』

『行きます。

半年前と同じ時間に同じ場所で』

ちょっと不親切かなと自分でも思いながらそう返したのだけど、ワカちゃんからのメールはなかった。


"ワカちゃん、あれでわかってるのかな?"

自分で漠然としたメールを送っておきながら、ちゃんと待ち合わせ場所にワカちゃんが来るかどうか不安だった。


今でもどうしてあんなメールにしたのか、自分でもわからない。


約束の時間に待ち合わせ場所に着いてみると、ワカちゃんの姿はなかった。


"ちぇっ、わからないなら聞けばいいのに"

自分勝手に口を尖らせて、ワカちゃんに毒づいていた。


携帯を取り出してふと顔を上げると、黒髪に戻ったワカちゃんが目の前に立っていた。


「おはよう」

「・・・」

声を失っているボクにワカちゃんは笑いかけた。


「ずっといたよ。

わからなかった?」

ワカちゃんは悪戯に成功した子供のような目をボクに向けて笑っていた。


もともと色白だったワカちゃんが、黒髪に戻って肌の白さが一層際立っていた。


すっぴんなのか、昔からあった目元と口元の黒子が妙にはっきりしていた。


「どうしたの?」

「いきなり"どうしたの?"は、ご挨拶ねぇ」

ワカちゃんは、悪戯っぽく笑った。


ワカちゃんはボクの問いには答えずに、前と同じように電車のホームを指さすと、ボクの前を歩き始めた。


まだ肌寒いのでワカちゃんは真っ赤なダウンを着ていて、ダウンの裾からはジーンズを穿いてキュッとしまったお尻が見えて長い脚が伸びていた。


電車の中でボクは紙袋を渡された。


中を覗いてみると、手編みのグレイのマフラーが入っていた。


「これはね、ナツミが編んでたの。

でも、途中になっちゃったから私が残りを編んだの。

今日渡そうと思って急いだからちょっと雑になっちゃった」

そう言って少し照れ臭そうにワカちゃんはマフラーを紙袋から取り出すと、ボクの首に掛けてくれた。


確かに真ん中あたりで編み目の様子が変わっていた。


半分は編み目が少し大きくてまばらだったけど、もう半分は丁寧に編んであって、編み目も均一だった。


二人で話をしながらお墓の前まで来たところで、ボクは度肝を抜かれた。


そこにはなっちゃんが立っていた。


ボクの顔は情けなくも恐怖で引き攣っていたに違いない。


けど、ワカちゃんがペコリとなっちゃんに頭を下げて、

「おばさん、ご無沙汰してます」

と言ったのを聞いて、ボクはようやく状況を理解した。


なっちゃんはお母さんと瓜二つだった。


自分の中で勝手に大人っぽくなったなっちゃんを想像して思い描いていたので、お母さんがなっちゃんに見えたのだった。


お母さんの視線がボクの方に戻ってきた時、ワカちゃんがボクを紹介してくれた。


「おばさん、田中くんです」

するとそれを聞いたお母さんは、目を細めてボクを見ながら何度も1人で頷いて、

「そう・・・、そうなの・・・」

としきりに呟いていた。


そのうちお母さんは、ボクの首のマフラーに目を止めるとワカちゃんの方を見て、

「これ、ワカちゃんが仕上げてくれたの?」

と聞いた。


ワカちゃんが頷くと、お母さんはボクに少し近づいてきてマフラーを少し手に取ってみた後で、

「ワカちゃんの方が、ナツミより上手ね」

そう言ってニッコリと笑った。


ボクは編み目が雑な方がワカちゃんだと思い込んでいたが、どうやら違ったらしい。


お母さんと別れてからの帰りの電車の中で、ボクは不思議とワカちゃんには色々な話をすることができた。


今の学校の悩み、大学受験への不安。


話し足りなくて、最初の待ち合わせ場所まで戻った時、

「ワカちゃん、今度、映画でも見に行かない?」

と思わず声を掛けていた。


ワカちゃんは少し躊躇っていたみたいだったけど、自分に言い聞かせるように小さく頷くと、ボクたちは次の約束をした。


その日もワカちゃんはボクよりも先に待ち合わせ場所に来て待っていてくれていた。


その日は直ぐにワカちゃんの姿を見つけた。


一緒に映画を見て、お茶をして、パスタを食べたけど・・・、何故だかどちらからももうなっちゃんの話はしなかった。


新学期が始まってからも何度かそんなデートを重ねた。


そして気づいた時、ボクはもうワカちゃんのことが好きになっていた。


会ってワカちゃんの手を取って歩き出したり、何かの拍子にワカちゃんがボクの肘に腕を組んできたりするのが自然にできるようになってきた頃、ボクたちはどちらかからともなく誘い合って、一緒にホテルに入っていった。


唇を合わせるだけのキスは済ませていた。


部屋に入るなりワカちゃんに抱き付いて唇を重ねると、ワカちゃんの腕にも力が入ってお互いに唇を吸い合った。


ワカちゃんの身体はボクが想像していたよりも華奢で、少し面食らってしまった。


初めてワカちゃんの裸を目の前にしたとき、ボクはもう死んでもいいと思った。


あんなに綺麗な女の人の身体を見たことがなかった。


高校生の身体だから、こっそり見たことのあるアダルトビデオの女優さんみたいにふっくらとはしていないけど、真っ白な肌が眩しくて、薄目の草むらが愛おしかった。


興奮のあまり、おっぱいにむしゃぶりつくとワカちゃんの手がボクの頭を抱いてくれた。


それからその手はおずおずとボクの屹立したモノに伸びてきて、ボクはそっと温かい掌に包まれた。


気がつくと先端がワカちゃんの亀裂に押し当てられていて、ワカちゃんの目を覗き込むと小さくコクリと頷いてくれた。


ボクは夢中で腰を突き出すと一気にワカちゃんの中に入って行った。


ワカちゃんはボクの首にしがみついてきた瞬間、小さな声で、

「ナツミ、ごめん」


そう言った。


ボクは少し驚いて、腕をベッドに突っ張ってワカちゃんの顔を見ると目に涙が滲んでいた。


なっちゃんを思い出してのことなのか、痛みに耐えてのことなのか、ボクには判らなかった。


でも初めてのボクにはそれ以上のことを考える余裕はなく、初めて包まれる温かいワカちゃんの襞に夢中になって腰を振り続けた。


「あぁ、もう出る」

そう言った途端、ワカちゃんはハッとなって、ボクの動きを止めようとした。


「田中くん、中はダメ!赤ちゃんできちゃう!」

ボクはそれを聞いても動きを止められず、そのままワカちゃんの中で放出してしまった。


ワカちゃんの身体から下りて隣に横たわると、ワカちゃんはベッドに横たわったままボクに背中を向けて反対の方を向いてしまった。


腰の辺りのシーツが鮮血で少し汚れていた。


「ワカちゃん、ゴメン。

怒ってる?」

ボクは横になったままワカちゃんの背後から抱き付いて、後ろからワカちゃんの胸に腕を回すと、ワカちゃんは自分の手をボクの手の甲に重ねてくれた。


無言のまましばらくそうしていたのだけど、ワカちゃんはやがてゆっくりと身体を起こすと、胸を隠すようにしてバスルームに入って行った。


シャワーの音が止んで、ワカちゃんはバスタオルを身体に巻いて戻ってくるとベッドの端に腰を下ろした。


ボクが甘えて後ろから抱きつくと、ボクの腕ごと自分の胸を抱くようにしながらワカちゃんが静かに言った。


「こんなの背徳行為だよね」

「えっ?」

「ナツミがきっとこうなりたかったのにね・・・」

なっちゃんのことを言われて、ボクは胸が締め付けられるような気持ちになったが、やっとの思いでワカちゃんに言った。


「でも、ボクはワカちゃんとこうなりたかった」

ボクたちはしばらくその姿勢のまま泣いていた。


「あのね・・・、私、本当は田中くんに渡さないといけないものがあるんだ・・・」

そう言ってポーチに手を伸ばすと、ずっと持ち歩いていたのか、少し皺や折り目がついた封筒を取り出して力なくボクに手渡した。


表には

『田中くんへ』

と書いてあって、裏返して見るとウサギの絵が描かれた横長の封筒の右下に、なっちゃんのフルネームが書いてあった。


視線をワカちゃんに戻すと、ワカちゃんは頷くことでボクに封を切るよう促した。


『田中くん、お元気ですか。

田中くんがこの手紙を読んでいるということは、残念ながら私は生きて田中くんには会えなかったということのようです。

志望校には受かりましたか?私は田中くんに会えるのを楽しみに、この一年病魔と闘ってきましたが、そろそろ限界のようなので、この手紙をワカちゃんに託します。

私のこと、ちょっとは好きでいてくれたと信じてていいですか。

塾で出会ってから、卒業式の日まで、たった半年だったけど、ずっと学校でも塾でもいつしか田中くんの姿を目で追っていました。

楽しかった。

ありがとね。

でも、この際だから、もう一人、ずっと田中くんのことを見ていた人がいたことを教えちゃいます。

もう想像できるよね。

私とずっと一緒にいてくれた女の子。

この手紙を田中くんに渡してくれた女の子。

私は、ワカちゃんの気持ちに気づいていたのに、田中くんを取られたくなくてずっと気づかないフリをしていました。

ワカちゃんは私なんかよりずっと田中くんのことを知っていて、色々と教えてもらいました。

元気になれば、ずっと気がつかないフリをしてるのかな。

ひどいね、私。

でも、この手紙を田中くんが読んでいるのなら、ちょっとはワカちゃんのことを考えてみてあげてください。

ワカちゃんは、友達思いのいい子だよ。

私の気持ちに気づいて自分の気持ちに蓋をしてしまった優しい女の子。

私の大好きなそんな子の想いが、ちょっとでも私の大好きな田中くんに届けばいいのにな。

田中くん、いつまでも元気でね。

ナツミ』

日付は、なっちゃんの命日の数日前のものだった。


苦しい病床で書いたのか、文字は所々乱れていた。


涙が止まらなかった。


ボクは黙ってワカちゃんに手紙を差し出した。


「読んでもいいの?」

ボクは黙って頷くと、ワカちゃんは手紙を手に取って読み始めた。


読み始めると、手紙を持ったワカちゃんの手が震え始めていた。


読み終えたワカちゃんは片方の手で口を覆い、目からはポタポタと涙が落ちて、便箋を濡らした。


「私、最低だね・・・」

「どうして?」

「親友がいなくなったのをいいことに、田中くんとこんなことしちゃった」

「なっちゃんは、許してくれるよ」

「私、自分のことがつくづく嫌になった・・・」

「それを言うなら、ボクも同じだよ」

ワカちゃんがボクの元から離れていくのが怖くて、ボクはワカちゃんに後ろから腕を回して抱きついた。


「田中くんに会うことがあったらすぐに渡せるようにと思って、いつもカバンに入れて持ち歩いていたの」

「・・・」

「電車の中で田中くんを見かけたの、実はあの日が初めてじゃないんだ・・・」

「どういうこと?」

「あれよりひと月ぐらい前だったかな・・・。

田中くんのこと、電車で見かけてたんだけど、ナツミの手紙を渡したらもう二度と会えない気がして・・・」

ボクが黙っているとワカちゃんは、話を続けた。


「この手紙が田中くんの元に届く運命なら、もう一度会えるはずだって自分に言い聞かせて、その時は声をかけられなかった。

逃げちゃったんだね・・・。

だから、あの日、田中くんの姿を眼にした時、"ああ、ナツミと田中くんは、運命の人なんだ"、そう思って観念した」

「それで、ボクに話しかけてくれたの?」

ワカちゃんは目を伏せながら頷いた。


「でも手紙は渡せなかった」

「うん」

「次は渡そう、次は渡そうって、いつも思っていたんだけど・・・、田中くんに会うと、次にしよう、次にしようって・・・」

ワカちゃんの声はいつしか涙声になっていて、肩が震えていた。


ボクは一層腕に力をこめて、ワカちゃんの細い身体を抱きしめた。


「私、こんな女だよ」

「だからなに?」

ボクはそう言ってワカちゃんの身体をベッドに寝かせると、覆いかぶさるようにして唇を重ねた。


唇を離すとワカちゃんはボクの目を見て言った。


「夢みたいだよ」

ワカちゃんはボクの首に腕を回して、自分の方にボクを引き寄せた。


ボクはいつまでもワカちゃんの唇を吸いながら、手を胸に当てると柔らかなおっぱいを揉みながら乳首を弄んだ。


「あぁ・・・、いい」

ワカちゃんの声に刺激されてボクはワカちゃんの長い脚を割ってはいると、まだ十分に濡れていないワカちゃんの亀裂に怒張したものを押し当てた。


「こんな女でいいの?」

ボクの下からワカちゃんが上目遣いでボクに言った。


「ワカちゃんがいいんだ!」

ボクはそう言って、再びワカちゃんの柔らかい襞の中に入っていった。


「大切にするね」

「それは、ボクの台詞だよ」

ボクはゆっくりと腰を動かして、さっきよりも長い時間、ワカちゃんの中に入っていたけど、二度目の性をワカちゃんの中に放ってしまった。


その時はもう、ワカちゃんはダメだと言わなかった。


ずっとボクの身体にしがみついたまま、ワカちゃんはボクの全てを受け入れてくれた。


ワカちゃんと抱き合って少し眠った。


目を覚ました時、ちょっとは冷静さを取り戻していて、少しだけ後悔している自分がいた。


子供ができてしまっていたらどうしよう。


後悔の根源はそこにあった。


ワカちゃんのことは大好きだった。


世界中の誰よりも好きだった。


だから、子供ができたらボクは責任を取らなければならない。


そう思ったら少し怖くなった。


高校を辞めて働きに出なければならないことや、親になんと言おうかと考え出すと後悔の種は尽きなかった。


でも、ボクの隣で無防備に眠るワカちゃんを見ていると、若い性欲がむくむくと三度鎌首を持ち上げるとボクはワカちゃんのおっぱいに吸い付いていた。


するとワカちゃんは目を覚まし、胸に吸い付いたボクの身体を軽く押すようにしてボクをベッドに寝かせると、

「今度は私がしてあげる」

そう言って妖艶な笑みを浮かべると、ボクに覆いかぶさってボクの胸に舌を這わせ始めた。


「こうすると気持ちいい?」

快感に酔いしれているところでうっすらと目を開けると、ワカちゃんは身体をボクの下半身のほうにずらして、細く舌を尖らせながらボクの屹立したものに舌を這わせていた。


「ワカちゃん、ボクも舐めたい」

そう言うと、ワカちゃんは身体を起こしてボクの顔の上に跨ると前に身体を倒していってボクを根元まで呑み込んだ。


「くはっ!」

初めてのフェラは凄い快感だった。


ボクは本能的にワカちゃんの腰を自分の顔の方に引き寄せると、パックリと目の前に開いた割れ目に沿って舌を這わせ始めた。


「ん!」

ボクを咥えたまま、ワカちゃんが喉の奥から声を発した。


ワカちゃんのフェラがどんどん早くなっていくにしたがって、ボクもワカちゃんの腰をがっちりと掴んで高速で舌を動かして、ワカちゃんが喜ぶ敏感な突起を舐め回した。


「んーっ!」

先に昇天したのは、ワカちゃんだった。



もうフェラなんて続けていられなくて、ボクの上に逆さまになって突っ伏したまま、いつまでも身体を震わせて濡れた秘所をヒクつかせていた。


ワカちゃんがようやく落ち着くと、握り締めていたボクを再びパクリと咥えて、首を大きく上下に動かした。


それを見ただけでボクの興奮は限界に達すると、ドピュッという感覚がボクを襲い、ワカちゃんのお口を汚してしまった。


ゴクリと喉を鳴らしてボクの吐き出したものを飲み込んだワカちゃんはその後もボクを吸い続けて、すっかり綺麗にしてくれた。


ボクの横に身を横たえて身体を擦り付けるようにして甘えてきながら、ワカちゃんはボクに言った。


「初めて同士なのに、凄くエッチなことしちゃったね」

"凄くエッチなことをしたのは、ワカちゃん、あなたです"

そう言いたかったけど、ボクは黙って頷いた。


もう遅いと思いながらも、次から会ってエッチをするときはきちんとコンドームを使うようにした。


すると2週間ぐらいたって、朝早くにワカちゃんからの電話があった。


ちょっと驚きながら電話に出てみると、いきなり、

「生理、きたよ」

と言われた。


ボクはなんと返答していいのかわからずに、

「ああ、そう」

と気にもとめていないふりをしたけど、電話を切ってから1人でガッツポーズをしていた。


ワカちゃんは1つ年上の先輩らしく、大人びたことを言うこともあるかと思えば、二人っきりのときは思いっ切り甘えた声を出して、子供のように振舞うこともあった。


ボクにはその全てが愛おしかった。


ボクは大学に進学し、ワカちゃんはその一年前に短大の看護学部に進学していた。


一緒に塾に行っていた頃から、勉強の飲み込みはなっちゃんよりもワカちゃんの方が早かった。


時々なっちゃんのことを偲んで話をすることもあったが、もう必要以上に気にすることはなくなった。


よくよく考えてみるとボクはなっちゃんのことをちっとも知らなくて、今ではワカちゃんのことの方がよく解かっている。


お刺身は食べられるけど、煮魚や焼き魚が苦手。


ウニやイクラは大好物なのに、アワビやサザエは食べられない。


時々突っ張った目をして見せるのに、ラブコメが大好きで、音楽はヘビメタかと思いきやフォークだった。


音楽の話をしていて、ボクも同じくフォークが好きだと言った時、ワカちゃんに言われた。


「そんなの知ってるよ。

女はね、好きな男の好きな音楽を好きになるの。

好きになった男がタイプになるの。

わかった?」

犬好きのくせにいつも子猫のようにボクの隣で丸まって、目を覚ましたかと思うとボクにじゃれついてくるワカちゃん。


ガサツなようで結構周りには気を使うタイプで、金髪をやめたのもボクが変な目で見られないように、との気遣いだった。


目玉焼きにはソースを掛ける派て、ボクが醤油派だと知った時には、

「一緒に暮らしていけるかなぁ」

と冗談っぽく呟いて、ボクを喜ばせてくれた。


それでも命日の時だけは二人でお墓参りをして手を合わせると、その帰りにはどちらかの家に寄ってお互いの身体を貪るように愛し合った。


ワカちゃんはボクに騎乗位で跨って、抱き合うようにしてボクにおっぱいを吸われるのが大好きで、

「あ、それスゴイ・・・、あぁ、いい・・・、あぅ、いっ、イクっ、あー、ダメ、そんなにしたらまたイッちゃう!」

苦しそうにそんな言葉を発しながら思いっきり腰を前後に動かして、擦り付けながら身体を仰け反らせると絶頂に達し、決まって失神してしまうワカちゃん。


だから、ボクはワカちゃんが後ろに倒れてしまわないように背中に腕を回してゆっくりと仰向けに寝かせると、今度はボクが上になってピストン運動を開始する。


涎をすする音が聞こえて、ワカちゃんを見ると目を覚ましているが、苦しそうに眉に力を入れて快感に耐えている。


それでも、再びアクメに近づくと、「ひぃっ」という声にならない声を喉の奥から発し、ボクの首にしがみついてビクビクと身体を痙攣させて動かなくなってしまう。


その瞬間、ボクのものはスゴイ締め付けを感じて、ボクもワカちゃんの中で果ててしまう。


もちろん、そのときにはコンドームを装着している。


ワカちゃんがシャワーを浴びに自分の部屋から出て行ったとき、勉強机に置かれたアクセサリー箱が目に止まった。


指輪のサイズを知っておきたくて、こっそり箱を手にして蓋を開けてみると、指輪やブレスレットやイヤリングに混じって中学の制服のボタンが入っていた。


制服のボタンなんていくらでもあるだろうと思いながらも手にしてみると、裏のボタンホールの輪っかが歪んでいた。


「ナツミが亡くなったときに、おばさんに頼んで私がもらったの」

気がつくとワカちゃんが髪をタオルで拭きながらボクの傍らに立っていた。


「ホントは私が欲しかったんだけど、田中くんからもらうようにナツミに言ったの。

ナツミが田中くんとくっついたら、少しは田中くんの話が聞けるかな、とか、たまには会ったりもできるのかな、なんて思っていた・・・」

「あの頃から、ボクに好意を持ってくれてたの?」

「ほとんど、ひと目惚れだった・・・」

少し照れたように言った後、今度は目を伏せて、

「私って、計算高い女でしょ?」

自嘲気味にワカちゃんが言うので、ボクはワカちゃんの手首を掴んでグイと引き寄せると、細い身体を抱きしめて、濃厚なキスをした。


思いっきり舌を絡めて、舌の付け根が痛くなるほどワカちゃんの舌を強く吸い込んだ。


ワカちゃんも熱に浮かされたように、

「田中くん、好きなの・・・、好き過ぎて苦しいの・・・」

ボクの耳元で囁きながらおっぱいをボクの胸に擦り付けていた。


ボクはワカちゃんの身体をベッドに寝かしつけて、覆いかぶさるようにして、順に身体中にキスをしていった。


おでこ、瞼、耳、鼻の先、唇、顎、喉、鎖骨、胸、乳首、脇の下、脇、鳩尾、お腹、草むら、クリ、包皮の上からと剥いてから・・・。


ワカちゃんは狂ったように悶え、もう目の焦点が合っていなかった。


ボクは今度はワカちゃんをベッドにうつ伏せにさせて、うなじから背中、両脇に指を滑らせながらお尻を高く上げさせて、ひくついている菊門に尖らせた舌先を押し当てた。


「田中くん・・・、もう駄目・・・、欲しい・・・の、お願い!」

ボクがゆっくりとワカちゃんの亀裂に最高のい興奮したペニスを挿し込んだ。


「あ゛ーっ!!!」

ワカちゃんは思いっきり背中を仰け反らして、昇天した。


枕を抱いていつまでも身体を痙攣させているワカちゃんを仰向けにさせて抱きしめた。


ボクの腕の中で薄っすらと目を開けたワカちゃんは、恥ずかしそうに小声で言った。


「こんな恥ずかしいこと見せられるの、田中くんにだけだよ」

それを聞いたボクは、ワカちゃんのことが愛おしくてたまらなくなって、ワカちゃんの耳元で囁いた。


「今度、一緒に指輪を買いに行こう。

娘ができたら、ナツミと名づけよう」

ワカちゃんがボクの腕の中でしゃくりあげながら、いつまでも頷いてくれているのをボクは肩に感じていた。