00398
在宅講師をしている妻の話。

妻は在宅講師をしている
自宅で小学生の子供相手に勉強を教えているのだが、これがなかなか大変らしい
来るのは4~6年生の高学年の子達だが
曜日によっては2、3年生を見かけることもある
ほとんどが平日なので直接見かけることは少ないが
ある土曜日に「おや?」と思わされる出来事があった
昼下がり、うとうとしていた所に
衣服の埃を払っているような音が聞こえたのでたどってみると
妻が6年生の男の子の体を折り曲げ、抱え込むようにしてお尻を叩いていた
ほかの子達は帰った後のようで
宿題でも忘れたのだろうとその場を離れたのだが

一向に音が止む気配がない
10分ほど経って、さすがにやり過ぎではないかと止めに向かおうとしたところ
男の子は妻の教室から出てきて、はにかんだ笑顔で「さようなら」とこちらに気付いて挨拶してきた
妻に理由を聞くとやはり宿題を忘れて
その上、時間に遅刻してきたということで
「15分遅れたから、15分居残りでお尻をたたいたのよ」とさらりと言ってのけた
場所がお尻とはいえ
15分遅れただけで15分間も叩くのはどうなんだと妻に言うと
「ずっとたたいてるわけじゃないし、向こうもわかってやってるから」
ふうん、とその場では納得したものの
わかってやってる、という文言がどうにも引っかかった
次の土曜日
同じ6年生の男の子がまた遅れてやって来た
「今日で3回目だよね」妻の声が聞こえる
「あとで残りなさい」
ほかの子達が帰った後、様子を見に行くと
やはり妻は同じようにして男の子のお尻を叩いていた
…と思ったのは妻の後ろ姿だけで
男の子は下に何も穿かされていなかった
裸のお尻をめちゃくちゃに打たれているのだ
(おいおい…、これはさすがに…)
止めないと、と思った瞬間
男の子が全く痛がっていないことに気が付いた
どころか、恍惚の表情さえ浮かべているような…
「そろそろ許してあげよっか?」妻が言う
男の子は答えず、ただ首を横に振った
「じゃあ、10分延長ね」
たいして大柄でもない、男の子の子供らしいお尻はまっ赤だ
遠目に見てそうなのだから痛いに違いないのに、2人は愉しんでいるようだった
合意の上での、疑似プレイだったのだ
わかってやってるとはそういう意味なのだろう
信じられない気持ちでその場に10分間佇んでいると
お尻を叩く音が止んだのは、本当に10分以上が経った後だった
何となくはち合わせが気まずく思えたので
部屋で男の子が帰るのをやり過ごし、妻を見る
隠してはいるが、汗をかいている
息も少し荒げているようだった
また叩いたのかと聞くと
「うん、ちょっとね」詳しくは言おうとしなかった
やはり引け目はあるらしい
「5、6年生はあれくらいしないとわかんないから」
たぶん妻は「罰でお尻を叩いている」ことを言ったのだろうが
合意の上でと知った手前
こちらは全く違う意味に聞こえてしまった