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小学時代の思い出。

初めての射精のときの話。

いわゆる精通は小5のとき。

よく覚えてるよ。


当時俺は、なぜか女子とばかり遊ぶような子供だった。

1人っ子だし、男同士のちんちん情報にも疎かったな。

ちんちんは、触ったりすると膨らんで固くなる、ってくらいのことしか知らなかった。



子供の頃までの俺の写真を見ると、今の川島海荷に似てる。

性格も女性的だったような気がするけど、当然、男としての性徴はやってきた。

早い方だと思うけど、5年生までに皮は完全にむけてた。

仮性包茎状態になったという意味だよ。

 
 
生まれた時から近所に住んでた幼なじみのナツミとは、特に仲が良かった。

親同士も同郷で、割りと親しかったらしい。

どっちかの家で、よく2人でお絵かきを楽しんでた。

俺がいつも描くナツミの似顔絵に、ナツミは喜んでくれてたよ。


幼稚園のプール遊びの後、バルコニーで男女入り乱れての、すっぽんぽんお着替えタイム。

今は、子供でもそんな屋外露出はさせないのかな。

そのときが、一番古い、勃起の記憶。

何に興奮したかは全く覚えてないけど、ホワイトアスパラみたいにフル勃起した。

それを同じくすっぽんぽんで、じーっと見つめていたのもナツミ。


そのときのナツミの裸はよく覚えてない。

ただ場景として、2人でちんちんを見下ろしていたという記憶。

 
 
5年生になっても、ナツミとはたまに一緒にお風呂にも入っていたし、何でも話した。

ちんちんおしりごっこという恥ずかしい遊び(説明したくない)も2年生くらいまでよくやってた。

ナツミも1人っ子で、彼女にとってちんちんと言えば、父親か俺のちんちんだった。


小学生時代、いつごろどんな性教育を受けたのかは、記憶にない。

けど5年生になったばかりの当時は少なくとも、オナニーや射精なんて聞いたことないと思う。


おっぱいもぺったんこなナツミを、女として見てドキドキすることもなかったし。

仲の良さを周りに冷やかされても、全然ピンと来なかった。

俺は体は育ってたけど、そういう感情は鈍かったみたい。

ナツミにとってはどうだったかわからないけど。

俺にとってナツミは、女の形をした友達、って感覚だった。


ただ、ナツミと風呂に入ると、自然に勃起した。

ナツミの存在が勃起のスイッチになってることに、その頃は気づいてなかった。


「最近ちんちんがそわそわする」

なんてことを、ナツミに相談した。

お風呂でシャワーを当ててると勃起して、続けていると“何か”が込み上げてくる。

怖くなってやめるんだけど、むずむずと気持ちいい。


親にも友達にも相談するのは恥ずかしいのに、ナツミには平気で話せた。

親が居ないとき俺の家で、下半身丸出しで勃起を見せながら話した。

お風呂では平気なのに、部屋でちんちん見せると妙に恥ずかしいのは何でだろう?

「A吾のちんちん病気なんじゃない」

「わからん」

「私とお風呂入ったときも、そんな風に固くなるね、これはいいんだよね?」

「これはホンノウなんだよ。

ホンノウってよくわからんけど」

「よくわからんね。

お父さんのも固くなるんかなあ」

当時ナツミはまだ、初潮は来てなかった。

でもそういうのがあるってのは、やっぱり女の子として教えられてて。

俺もナツミから聞いて、女はアソコから血が出るようになるらしい、ってことだけは知ってたよ。

でも肝心の自分のことはよくわからず。

結果的にそれも、ナツミから教えてもらったことになるんだな。


「あ、わかった、A吾のタマゴだよ。

思い出した」

「タマゴって?」

「男も女もタマゴが出るんだよ。

確かそうだよ。

何か出そうになる感じでしょ?」

「うん」

「心配ないと思うよ」

「でも何で、もぞもぞして気持ちいい感じなの?」

「それは私もわからん」

話の流れで、膿みたいなものかも知れないから、出るもんは出してしまえ、ってことになった。

一緒にお風呂に入るついでに。


ちんちんの刺激の仕方も、しごく、なんてのは知らなかった。

シャワーを強めにして、裏スジ側に当てるだけ。

ナツミも裸で、じっとそれを見てた。


いつも“何か”が来ると、怖くてやめてたけど、我慢できなくなってきた。

やっぱりナツミに見られてるって興奮があったのかも知れない。

ヒザが震える、っていうかヒザが笑うって言えるくらい、ガクガクした。


「ナツミやばい、何か出る、気がする!」

ナツミもさっきは心配ない、なんて言っておきながら、やっぱり怖くなってきたみたいな表情。

俺は足の震えが止まらなくて、手もすべってシャワーをゴトンと落としてしまった。


思わず反射的に、それを拾おうとしたナツミ。

前かがみになったナツミの顔と、ちんちんが急接近した。


その時、出た。


どっぷるどっぷる出た。


「あわわわ、何だこれ」

まだちんちんには指も触れてなかったけど、あわてて、押さえようとしてぎゅっと握った。

そしたらびりびり!て感じの快感が走って、さらにどむっどむっと出てきた。

ナツミの目の前で。


初めての射精が、顔射になってしまった、という話じゃないよ。

でも、ホントにナツミの目の前だった。


見慣れてるちんちんではあるけど、びゅっくびゅっくと脈動してる。

赤く腫れ上がった亀頭が、なんだか怒ってるみたいで。

そこから、得体の知れない白いネバネバが、生き物みたいに噴き出してくる。

そして変な生臭さ。


ナツミの眉間にシワが寄って、顔が見る見る青ざめた。


「おうッ…」

「ナツミ?な、何、何」

「うぇろ、おふ、えろえろえろ…!」

…ゲロだった。

浴槽に顔を突っ込んで、ナツミは吐いていた。

俺はそれを見てることしかできなかった。


そして、射精の快感と、思春期のもどかしさ、
裸でいる興奮と、体の変化へのとまどい、
精を搾り出した脱力感と、初めて見た体液への嫌悪感。

いろんな感情に、いっぺんに襲われた。

そして俺も、もらいゲロ。


俺も浴槽にゲロゲロして、顔を上げたらナツミはいなくなってた。

風呂場を掃除して、怖くなって、そのまま朝まで寝た。

 
 
翌日学校で、ナツミは顔を合わせてくれなかった。

違うクラスだったから、学校で話をしないのは珍しくないよ。

でも、次の日も、その後も、学校の外でも、ナツミは俺に近寄らなくなった。


俺は急に女が怖くなって、他の女子ともロクに話せなくなったよ。

低学年までは割りとクラスの人気者で通ってたのに。


この頃は、いつも女子に混じってるのを、男子にからかわれたりしてた。

だから今さら男友達とだけ仲良くするのは不自然な気がして、孤立しがちになった。

 
 
うちの両親とナツミの両親が、俺の家で話をしてるのが聞こえてきた。

ナツミに生理が来たらしいことを知った俺。


その日、うっすらと陰毛が生えていることに、俺は初めて気付いた。


そして、ずっとナツミのことが好きだったんだってことにも、ようやく気付いたよ。

突然ガツンと気持ちが入ってきて、あ、そうか、ナツミが好きだって思ったんだよ。

同時に、初恋が失恋に終わったんだってことも。


お風呂でちんちんにシャワーを当てて、あの時以来2回めの射精をした。

そして吐いた。

 
 
親たちは、俺とナツミが2人で遊ばなくなったことを、特に気にしてなかったみたい。

思春期の男女の心の変化を分かってて、特に何も言わなかったんだと思う。


しばらくして、シャワーを使わなくても、手でいじったら射精できることを覚えた。

そして、射精と同時に吐き気をもよおす事もなくなった頃。

俺は毎日、絵(ノートに鉛筆画)を描くようになった。

誰にも知られないように、描いた絵は残さずに、その都度捨てた。


描いたのは全部、記憶の中のナツミの裸だった。

ナツミの裸を白く汚す日々が続いた。

 
後ろ暗い10代の青春が始まった。