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妻の話。

妻は裸身を必死に隠そうと体を縮めてブルブル震えていた。

それを見て俺は段々心が冷めていった
あかの他人である男達の前では、大股開いて何もかもを見せていたのに
夫である俺の前では、そんなに必死に隠すのか。

そんな珍妙なことを考えていると、いつのまにか冷静になっていた。


「これは、どういうこと?」既に声は幾分穏やかなものになっていた。

妻はぶるっと身を震わせただけだったが、男達は互いに顔を見合わせてから口を歪めた

「冷静に聞けよ。

田近から5万で菜緒ちゃんを抱けるって聞いて」
「そ、そうなんだよ。

5万は高過ぎると思ったけど、あの菜緒ちゃんが何でもしてくれるって聞いたから」

俺はテーブルの隅に置いてあった一万円札をくしゃくしゃにして床に投げつけた


「ま、まだ、何もしてないんだ、本当だよ、なあ木島」
「そ、そうなんだ、やる前に、じっくり菜緒ちゃんを隅々まで鑑賞してからって、こいつが・・」

私が睨みつけると、二人は尻りつぼみになっていき、口をモゴモゴさせるだけになっていった。


「菜緒!どうゆうことだよ?」

菜緒は泣きながら震えていた。

なかなか言葉を発しようとしない菜緒を俺は根気よく待った。

いつの間にか木島達が消え、さらに暫く時間が経って、ようやく菜緒は重たい口を開いた。


俺が内定を貰い、菜緒が最後にすると言って夜の仕事に出かけた晩
あの晩、菜緒は田近と高橋に好きなように抱かれていたのだ

「どうしても断れなかったのよ。

あなたが高橋の会社でお世話になることになったし。

 それに、店で、夜の仕事で、私、、高橋や田近に、、ううん、もっと他の人にも・・・
 私、身体を触られて・・・店のルールで、どうしようもなくて・・
 そのこと、どうしても、あなたに知られたくなかった・・・」

そんなこと知ってたよ!と喉元まで出かかったが、俺は黙っていた。


「1度だけって言われたのよ。

あの晩、最後の仕事の日、一晩だけ好きにさせれば、
 店での仕事のことも黙ってるし、
 あなたの仕事のことを高橋にお願いしたことも黙っててくれるって。

 全て無かったことにして、何もかも忘れて、また家族で楽しくやり直せると思ったのよ」

「じゃあ、なんでこんなことしてんだよ!!」思わず大きな声が出た。


「そ、それは・・・ごめんなさい・・本当に・・ごめんなさい、私、馬鹿だった・・死にたいくらい馬鹿だったの」

俺は泣きじゃくる妻を待った。

妻が話してくれるのを、ひたすら待った

「最初の店で騙されたの・・」と、囁くように妻は話始めた。


ネットで探した最初の店で、妻は衣装だなんだと理由を付けられて50万の借金をしてしまった
その挙句、顧客に逃げられて、その客の売掛金まで肩代わりする羽目になってしまった

「そのお客さん、新人で何も分からない私を凄く可愛がってくれて・・・
 店の先輩も、太い客だから大事にするようにって・・だから、私、信じてしまったの。

馬鹿だった・・本当に馬鹿だった」

「そんな大切なこと、なんで俺に黙ってたんだ!その時、相談してくれてたら・・・」

「ごめんなさい・・貯金全部なくなって、カードでローンまでしているの・・
 そんな状態で、店に借金してるなんて・・・どうしても言えなかった・・どうしても言えなかったのよ」

「だからって、なんで田近なんかに・・」

「怖かったのよ。

店の怖い人達にお金を返せって言われて、どうしょうもなくて。

 最初は、ただ働く店を紹介してもらいたかったの。

それだけだったのよ。

 でも、田近が前の店と話を付けてくれて、借金も肩代わりしてくれて・・・」

『そんなの、お前を落すために決まってるだろ!金だって100万とかそんなもんだろ?
 そんな僅かな金のために、お前は昔の仲間達の慰み者になったのか!』

そう叫びたかったが・・できなかった。

俺は「ごめんなさい・・本当にごめんなさい・・馬鹿だった、私が馬鹿だったの」
と泣き崩れる妻の剥き出しの肩をただ眺めるしかできなかった。


菜緒を家まで送り届けてから、田近の会社へ向かった
既に受付は閉まっていたので、守衛さんに田近に会いに来たと言うと
意外にも、すぐに会社の人間が降りてきて、応接室に通してくれた
部屋に入って5分もしないうちに、携帯が鳴った
田近からだった
「うちの会社に来てるんだって?俺、今、おまえの会社に居るよ。

 高橋社長が心配しているぞ、勤務中に黙って居なくなったんだってな
 紹介した俺の顔に泥を塗るなよw」

しれっとそんなことを言いやがった
正論なだけに、激しくむかついた

「田近あぁぁ、てめー、今すぐ、こっちに来い!殺してやる」

「おいおい、ヤクザみたいだなw」

「どっちがだ!」

「まあいいや、俺だけじゃなくて
 高橋社長にも言いたいことがあるんじゃないか? 
 お前がこっちへ来いよ。

てか、自分の会社だろw、
 もうとっくに勤務時間終わってるけど、自社に戻るのが筋だろ
 まあ、待ってるから、ゆっくり来いや」

俺は「分かった」と一言だけ告げて電話を切った。


会社の前まで来て、そっとビルを見上げた
自社ビルだという7階建ての汚らしいビルだった
この会社に俺は一生を捧げるつもりだった
怒りと悲しみで壊れそうになるのを必死に抑えて、俺は社員通用口から中に入った
社内は静まり返り暗くなっていた。

21時。

遅い時間ではあるが、まだ全員が帰るような時間でもないはずだった。


俺はエレベータを使わずに階段を上がっていった。

経営企画部があるのは6階だったが、なんとなくエレベータを使うのは躊躇われた。

6階まで来ると、同じフロアにある社長室の明かりが点いているのが見えた。

社長室はガラス張りだったがブラインドが降ろされていたので、中までは見えなかった。

俺はノックをしてから中に入っていった。


社長室では田近と高橋が二人して俺を待っていた。

俺は部屋に入ると挨拶もせずに、高橋社長に質問した

「妻から全て聞きました。

どうゆうことですか?」

「それは何に対しての質問かな? 
 仕事のできない人間にありがちな、5W1Hが明確でない質問だ。

 何が聞きたい?
 君が無能だから奥さんの力を使わないと仕事も見つけられなかったってことかな?」

「高橋社長?、ちょいと訂正、”奥さんの力”じゃなくて、”奥さんの身体”ね。

か・ら・だw
 高橋さんも美味しい美味しい言いながら舐めまくってたじゃん
 あの素敵なボディ、素晴らしかったよw」

「てめー、田近!!」俺は気づいた時には田近に掴みかかっていた。


憎らしい田近の顔を何発か殴ることはできた
しかし、すぐにガードマンが駆けつけてきて、取り押さえられてしまった。


高橋がガードマンに軽く頷くような合図をすると
二人のガードマンが素早く動き出した。

俺は、あっという間に身動き取れない様に拘束されてしまった。


「うるさいから口も塞いでおいてよ!」田近だった。

その言葉に合わせるように、柳が部屋に入ってきて、俺の口をタオルで塞いだ。


「さてと、殴られてしまいましたね、田近社長、どうします?」
「そうですね。

ちょっと待っててくださいね」

そう言うと田近は携帯電話を取り出した。

『田近、てめー、今すぐ、こっちに来い!殺してやる』
俺の声が再生された。

「あ、間違ったw あ、でも、これ、いざって時、証拠になるね、重要犯罪でしょ。

殺人未遂的なw」
田近は、そう言いながら電話を掛け始めた。


「あ、待ってよ、切らないで!、ってか切らない方が良いと思うよ。

 そんなに喚かないでよ、あいつにバレちゃったみたいだね。

 俺のせいじゃないって、俺は約束を守ったよ。

そっちのせいじゃないの?
 ああ。



いや、でも、借金まだ残ってるよ。

 そんな態度だと、
 菜緒ちゃんの実家とか、旦那の実家にまで取り立てに行かないとならないけどw
 お?!やっと、話ができる態度になったね?
 じゃ、提案だけど、残金と利息と口止め料なんだかんだ全て、今日一日で清算でいいよ。

 本当に本当にこれが最後だから、今晩、一晩言うことを聞けば、全部チャラ、どう?」

こいつら、また菜緒を玩具にしようというのか!
「うう・・うう・・」俺は身を捩って必死に暴れた、しかし、どうにも動けなかった
そんな俺を見て田近が愉快そうに笑った。


「菜緒ちゃんさあ、どうする? 今日一日が終われば、借金は全てチャラ。

 俺たちは最初の約束をちゃんと守って、口にチャックするよ。

 だけどさあ、菜緒ちゃんが約束破って、借金返さないって言うなら、俺たちも約束守る義理はないなあ
 あいつにはバレちゃったけどさ、ご近所や幼稚園の奥さん達は菜緒ちゃんのこと知らないんじゃない?」

田近は俺の方を見てニヤ?としてから、手でOKサインをした。


「じゃあさ、場所だけど高橋社長の会社に来てよ。

 そうだよ。

何、やり部屋の方がいいって?w
 おい!100万近い金、一晩でチャラにするって言ってんだ!
 ゴチャゴチャ言ってんじゃねえよ!
 嫌なら来るな!その代わり分かってるだろうな?
 おっと、ごめんね、菜緒ちゃん、怒鳴ったりして。

 分かって貰えれば良いんだよ。

 愛する旦那と娘のため、もう一踏ん張りしようや!、じゃあ待ってるから」

ちきしょーちきしょー、こいつら、ここで菜緒を・・・

「あ、そうだ、菜緒ちゃん!、シャワー浴びて、身体を綺麗に磨いてきなね。

 今日はゲスト多いと思うからw じゃあねえ」

「本当に最後なのか、残念だな。

あんな良い女」
「たしかに、あのツンっとした表情が堪らないんですよね」
「俺は昔から、ああいう高飛車系の美女に目がないんだよ」
「社長のど真ん中、完全なストライクゾーンですもんね」
「こらこら、俺なんか学生の頃から思い続けて3千年ってw」
「まったく、羨ましい奴だ」言いながら柳が俺の頭を小突いた

「じゃあ、ちゃっちゃと電話しちゃうかなw 同窓会の幹事の気分だw」

俺はこのピンチをどうやって逃れるか必死に考えた。

しかし、空しく時間はどんどん過ぎていった。


「さてと、まずは、ここから始めるか」

そう言うと、柳と田近は俺を社長の机の上に座らせた

「こっちは準備OKだぞ」高橋の声だった

高橋がブラインドを操作したのか、前方に広がる管理部や総務の机の島が丸見えになった。


「で、この電気消しておけば、向こうからは全く見えないから」

「ちょうどあの辺りかな」柳が指さす場所は目の前の管理部だった。


「あの辺りで、お前の奥さんの花が開くから」

「満開w」「ご開帳」「特等席でいいなぁw」

こ、こいつら・・
「うう・・うう・・」
どんなに暴れても身動き一つ出来ないほど、俺の体はガムテープで固定されていた。

「暴れても無理無理w」「我々はそろそろ、あちらへ行きましょう」「そうだな」
「おっと、忘れるところだった」そう言ってから柳が最後に社長室の電気を消して出て行った。


周りが真っ暗闇になったため、正面の管理部の島がやけに明るく感じられた
既に2人の男が来ていた。

どちらも知ってる奴だった。

ゼミで菜緒や俺と一緒に机を並べていたこともある奴らだった。

田近に案内されて、また一人の男が入ってきた。

『な!ど、どうして!』
本間だった、先日二人で飲んだ時、菜緒のことを教えてくれた、あの本間だった。

親友だと思っていたのに・・

田近が半笑いで社長室に戻って来た
「忘れてたよ。

これじゃ面白くないよな。

ここちゃんと開けといてやるからw」
社長室の扉を全開にして田近は出て行った。

皆の話し声が、聞きたくもない会話が嫌でも耳に入ってきた

「予約入れてたのに、今日で終わりって酷いな。

楽しみにしてたのに」
本間の声だった。

俺は耳を塞ぎたかった。

しかし、それさえも叶わなかった。


柳達によって、管理部の机の上が綺麗に片付けられていった。

「悪いけど、こっち持ってもらえるかな?」
「何、これ毛布?」
「菜緒ちゃんの綺麗な背中に傷が付いたら大変だからね」
「え?そうなの?」
「素晴らしく綺麗な背中だぞ?、まっちろスベスベ、絹のような肌触り舐めると甘?いw」
「いや、そうじゃなくて、ここに敷くの?」

田近がニヤ付きながらこちらを向いた
「そうだよ。

ここで菜緒ちゃんが、おっぴろげるからね」
「え?まじ?まさか自分で開かせるの?」
「まじか、あの菜緒がここでか・・・うわっ俺、想像しただけで勃ってきた」

「おっと、噂をすれば、だw」
田近の携帯が鳴った。


「遅かったね。

すぐに迎えに行くよ」

「姫様のご到着?!」田近が叫んだ
「うおおお!」「キターーーー!」
菜緒が来たのか、本当に来たのか、俺は不安で胸が張り裂けそうだった。


「ああそうだ。

全く打ち合わせてなかったけど、
 どうする?もしかして服着たままの方がいい奴とかいる?」

「ん?」「どういう意味だ?」

「ああ、あそこの高橋社長とかは、色々と趣味がウルサイんだよ。


「任せますよ!夜は長い!」高橋の太い声が響いた

「じゃあ、見たことない奴も居るだろうし・・・ とりあえず、マッパでいっか」

「意義なーし」「意義なし!」「まじか。

もうすぐあの菜緒が全部晒すのか」

「じゃあ、ちょっくら下まで迎えに行って来る!
 では、皆の衆!
 お澄まし菜緒ちゃんの裸体、隅から隅までじっくりと堪能してやろうぜぃ!」