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緊張しすぎて、完治したはずの心臓が再び悲鳴を上げた。

それでも私は言わなければならなかった。


「達也、私と結婚しても子供は難しいと思うの・・・」

やっとの思いで振り絞った声は自分でも恥ずかしいくらい小さな声だった。

それでも達也の耳には届いたようだ。

私は大きく目を見開いた達也に向かってさらに言葉を続けた。


「年齢的な問題もあるし、心臓も・・・」

言い終わらないうちに、達也が笑いだした。


「何、そんなこと気にしていたの?w」
「俺、子供嫌いだから全然問題ないよw」

「え?でも・・」

「そんなことより、俺は仕事に生きる男だからw」
「今日は社長のお伴で、若葉さんの会社に行ったんだよ」
「田所部長と打ち合わせしたんだけどさ、俺、結構、評価されてるみたい」

え?ミーティングって達也も出席してたの?
昼間の屈辱が蘇った。

そのミーティングのために、私は田所に屈したのだ。

腐敗臭のような足の匂いが、ずっと鼻に残っているようだった、
しかし、不思議なもので、
達也の役に立ったのだと分かると、すっと消えていった。


「子供のことなんて全然気にしてないからさ、
 そんなことより、田所部長に俺のことアピールしておいてよw」

「う、うん。

言っておくよ」

「ばあか、冗談だよw、何、本気にしてんのさ、女の力なんて借りるかい」

そう言って達也は少年のように笑った。

その笑顔が眩しくて、私は目を細めながら、もう一度だけ聞いた。


「子供の産めない、こんなポンコツ女で、本当にいいの?」

途端に笑顔がすっと消え、達也は真顔になった。


「愛してるんだ。

ポンコツなんて言うなよ」

言いながら思い切り抱きしめられた。

霧が晴れるがごとく私の中で迷いが消えて行った。


翌朝、出社すると、若いADの子達が深刻な顔をして傍に寄ってきた。


「若葉さん、すみません、少しよろしいでしょうか?」

「キモゴリラが若葉さんと付き合ってるなんてデマを流してるみたいなんです・・・」
「そうなんです。

昨日、同期と飲んだのですが、マーケの男どもが自慢げに話してて、私、頭にきてすぐ帰ってきたんです」
「マーケの人達って本当にムカつきます」
「ろくな仕事もせずに私たちに嫉妬して、下らない嫌がらせばっかり・・」

"キモゴリラ"というのは、マーケティング部長、田所のあだ名だ。

マーケティング部と私たち制作の人間は非常に仲が悪く、度々いがみ合ったり、張り合ったりしていた。

トップである田所の不遜な性格もその一因ではあるが、何よりマーケティング部とは仕事上で意見をぶつけ合うことが多かった。


私は肯定するでも否定するでもなく、とりあえず彼女たちを宥めて、その場を凌いだ。

どういうことなのか、気にはなったが、田所に聞いてみようとまでは思わなかった。

できるだけ田所や清水とは顔を合わせたくはなかったからだ。

しかし、そんな私の気持ちなどお構いなしに、すぐに田所から呼び出しを受けた。

朝の非常に忙しい時間だった。

それでも、私には拒否することなどできず、なんとか調整してミーティングルームへ急いだ。


「なあ、若葉さん、暫く俺と付き合ってることにしないか?」

「え?」

「その方が何かと都合がいいだろ」

言いながら肩をがっしり掴まれ、そのまま抱き寄せられた。

ヤニと缶コーヒーが混ざったような臭い息が顔にかかると、咄嗟に田所を突き飛ばしそうになった。

しかし、脳裏には内田の冷厳な言葉がこびり付いていた。

もう二度と田所を怒らせるわけにはいかない。

『あともう少しの辛抱だ』そう自分に言い聞かせながら
私はなるべく余所行きの声で、質問した。


「暫くって?」

「あん?暫くってのは少しの間ってことだろ。

アンタだって、一生、俺らの玩具ってわけじゃないだろw」

嫌な言い回しだった。

そして、嫌な笑い方だった。


私は自分でも気づかないうちに、胸の前に腕を押し付けて
右手で左肩をギュッと掴んでいた。

それは自分の乳房をガードするかのようなポーズだった。

その右手首が田所に掴まれ、ゆっくりと下に降ろされていった。

すぐに無骨な手が伸びて来て、無防備にされた胸の上を自由に這いまわった。


「自分の立場は理解したんだったよな?」

主にマーケティング部が利用している会議室
暗黙の了解で他部署が予約をすることはほとんどない。

そんな場所を指定された時から、覚悟はしていた。


私は黙って頷いた。

途端に田所は、ニヤ?っと顔を崩した。


「ジャケット脱いで、スカートを捲り上げろ」

田所は両手を使って私を撫で回した。

ささくれ立った指先が太股を這いまわる度に、ストッキングに引っかかるような嫌な音がした。

伝線しないか心配だったが、それでも、脱がされて下半身を露出する屈辱よりは、マシだと諦めた。


「朝からムラムラして、困ってたんだよw」

太股から股間、お尻、胴回りやお腹、胸や脇、そして、顔、、
田所は私を満遍なく、何度も何度も撫で回した。


「服の上からでも、すげえ興奮するよ」
「やばい、こんなになっちゃったよw」

見せつけるように膨らんだ股間を指差した。


「さすってくれよ」

当然、そうなると思った。

私は黙って手を伸ばした。


「いや、やっぱ、口でしてもらおうか」

嫌っ、嫌よ!
職場で奉仕させられる屈辱は堪えがたかったが
どうしても拒否することはできない。

無駄な問答をして、よけいに長引いたら、もっと最悪だ。

とにかく早く終わって欲しい、その一心で私は田所の足元に膝まづいた。


内田だったら私にやらせただろうが、田所は自分でチャックを下ろした。

そして、どうやったのか分からないが
器用にアソコだけがズボンからひょこっと顔を出した。

私はゆっくりと、その先端に顔を近づけていった。

内田から嫌というほど教え込まれた仕草も忘れない。

男から私の顔が見えるように、心もち顎を上げて、目を伏せた。

そして、唇がもう少しで届くという距離まで来ると、そっと舌先を突き出した。

私の柔らかな舌先が、赤黒く硬い肉の棒に触れた。

「うおうっ」
その瞬間、田所は、ぶるっと身を慄かせた。

私はチロチロっと先っぽを上品に舐めてから、ゆっくりと口に含んでいった。

そして、口いっぱいに頬張りながら、緩急つけて顔を前後に動かした。


「へ、へ、会社でやらせてるのが、堪らんわ」
「だけど、イマイチなんだよなぁ。

「いつまでも上品ぶってないで。

もっと、舌出して!竿を上から下まで舐めまわすんだよ!」

酷い言い方だったが気にはならなかった。

元々自分を大きく見せるために他人を怒鳴るような男だ。

照れ隠しか何かだろう。

私は言われるままに、舌を大きく出して、惨めな顔を晒しながら、
田所の男根を丁寧に舐め上げていった。


「しっかし、これは、凄い征服感だなw」

しばらく舐めしゃぶらされて、やっと解放された時には
私の顔は自分の涎と田所の精液で汚れきっていた。


「じゃあ、今日から、俺の彼女ってことで!」

泣きそうになりながら、ハンカチで顔を拭う私の肩を
ポンっと叩いて、田所は会議室を出て行った。


ドアが閉められた瞬間、私は堪えきれず、泣いた。


私と田所が付き合っているという噂はすぐに広まることになった。

その日のうちに、突然マーケティング部の飲み会に参加させられたからだ。

普段、飲み会などには、ほとんど参加しない私の顔を、皆は不思議そうに見つめていたが、
田所が我が物顔で私の肩を抱きながら、彼女だと紹介すると、場は一瞬、騒然となった。


内田にとって重要人物は田所だけではない、
私と田所の噂は清水の耳にも届いているはず、清水は納得しているのだろうかと疑問に思っていると
すぐに回答は得られた。

その週の土曜日に、清水に呼び出されたからだ。

シンプルな話だった。

平日は田所が、そして、土日は清水が好きなだけ私を玩具にする、それだけのことだった。


清水は他の男とは違って、SEXよりも私との会話を好んだ。

毎回、雑誌に載っているようなレストランでランチをしてから、清水のマンションへ行き
世間話から経済や仕事の話まで様々な話題で会話をするのがお決まりのパターンだった。

これだけだったら普通のお友達と言って良い関係だったのかもしれない。

しかし、清水は変態だった。

SEXはしなくとも、必ず、私は全裸にさせられた。

丸裸になって、清水の眼前で脚を開きながらの会話は、屈辱以外の何ものでもなかった。


田所と清水の言いなりになる日々は、まさに生き地獄だった。

死んでしまった方がどれだけ楽だったか分からない。

しかし、それでも堪えていたのは達也が居たからだった。

達也は毎日のように、うちに来てくれた。

辛い思いも達也の腕の中で優しく包まれていると忘れることができた。

そして、なにより、田所や清水に玩ばれることが、
直接的に達也の役に立っているという事実は大きかった。

自分の屈辱が達也の役に立つと思えば、どんなことでも耐えられたし、
そこに幸せを感じることさえできた。


しかし、田所や清水の要求は、どんどんエスカレートしていった。


「部下が若葉さんの身体を見てみたいって言ってんだよ」

「身体って・・それって、まさか!」

「そう、当然ヌードに決まってんだろw 
 いつも自慢してる彼女の素敵なボディを一度拝んでみたいなんて可愛い部下に頼まれちゃあ断れないわな」

「そ、そんな、そんなことできるわけないでしょ!」

「分かってるって。

俺だってそんな馬鹿じゃない。

ちゃんと考えてるから安心しろ」

「か、考えてるって?何を?」

「さすがに、プロデューサーが自分からバッと脱ぐ訳にはいかんだろw
 だからさ、お前は酔って寝たふりしてれば良いんだよ。

そのうちに脱がしてやっから」

「い、嫌よっ!絶対に嫌っ!」

「上だけでいいからさ、その美乳をちょこっと拝みたいんだとよw」

マーケティング部の若い男達に乳房を晒す。

到底承服できないことだった。

こればっかりは絶対に譲るつもりはなかった。


しかし、、、、

「あの達也とかいうガキと結婚するんだって?」

一瞬何を言われたか分からなかった。


「知ってると思うが、来月から、うちに常駐するんだよな、彼。

しかも俺の下に来るらしいぞw」

完全に固まってしまった私を見て、田所は嫌らしく笑った。


「あのイケメン君は、お前が、俺とやりまくってることとか知ってるのかよ」
「内田の言いなりになってるのも、その辺りが理由なんだろ?」
「おいおい。

何黙ってんだ?内田から事情は聞いてんだよ」
「彼氏、やる気満々だけど、まさか、彼女が股開いたおかげで、仕事任されてるって知ったら、どうなるかな?」
「なんなら、来月からお前の彼氏、とことん虐めてやろうか?」

「ゃめて・・・」
なかなか、声が出て来なかった。


もう一度、今度はうまく出てきた。

「やめてよ!」
「なんでもするから、やめて・・・」

「まあまあ、落ち着けって。

悪いようにはしないから」

そう言って、田所は私を抱き寄せ、
ウエストに回された手がゆっくり上がってきた。


「まったく、こんな身体を恥ずかしがる気が知れねえよ」

「で、どっちがいい? 個室居酒屋とカラオケルーム。

居酒屋の方が明るくて、よーく見て貰えるかw」

下を向く私の顔を覗き込むようにして、田所は囁いた。


その日のうちに”席”が設けられることになり、
私はなんの準備もすることができずに、若い社員達に身体を晒すことになった。


田所は重い足取りの私を支えるようにして、
マーケティング部行きつけのカラオケルームへ連れていった。


部屋に入ると、5人の男達の視線が一斉に私に向けられた。

5人とも何度も仕事を一緒にしたことがある良く見知っている顔だった。

当然のことだが、カラオケに熱を入れる者は誰も居なかった。

元々歌を歌うことが目的ではないのだ。

マイクを持つ者でさえ、歌などどうでも良いという具合に、全員が私を気にしているのが丸分かりだった。

早く酔ってしまいたくて、私は勧められるままにお酒をあおった。


そして、ついにその時が来た。

田所の合図を尻目に
私はゆっくりとソファにもたれ掛かり、目を閉じた。


何分もしないうちに「若葉さん、若葉さん」と揺り起こす声が聞こえた。

いくらなんでも早すぎるだろ!と思いながらも、
打ち合わせたとおり、私はピクリとも動かず、寝たふりを続けた。


「一度、寝たらなかなか起きないんだよ」

田所のわざとらしいセリフとともに、ジャケットに手を掛けられた。

そうっと肩から脱がされていった、私は腕を抜きやすいように力を抜いた。


「うわー、これは」
ジャケットを脱がされ、タンクトップ姿にさせられると
誰かが思わず口笛を吹いた。

それに呼応するように男達の歓声が聞こえた。


「うおおおぉ」「まじですげえ」「やばい、既にフル勃起だよ」
「おい、でかい声だすなよ!」

「大丈夫だってw」
歓声に混ざって田所の笑い声が聞こえ、
続いて、タンクトップの上から胸を鷲掴みにされた。


「ぶ、部長!だ、大丈夫なんですか? そんなにして・・」

「大丈夫、大丈夫w ほら、バンザーイ」

田所が私の両手を掴んでバンザイさせると
騒がしかった男達の声が止み、興奮する息遣いだけが生生しく伝わってきた。

恥ずかしい、悔しい・・・
このまま本当に意識を失ってしまえたら、どんなに良かったか。

しかし、そんな私の願いは叶うことはなく、
複数の手がタンクトップを掴かみ、胸の上まで捲り上げていくのを知りながら
私は、ただ、されるがままになるしかなかった。


「すげえ、俺、まじで憧れてたんだよ」 「俺だって・・・」
「みんな一度はオナネタにしてんだろ」
「しー!ここまできて、起きたらどうすんだよ!」
「だよな、静かにしようぜ」
「ちょ、おまw 必死すぎw そんなに見たいのかよw」

目を瞑っているので、声がしなくなると、あまり状況は分からない。

ただ、それでも、
自分がどんな姿にさせられようとしているかは分かった。

何より、男達の息遣いが、それを物語っていた。


私の手首を力強く掴んでいる田所の手とは
別の手が、ソフトなタッチで背中に回され、そっとホックを摘まんだ。

すぐに、ブラの圧迫から解放された乳房が、ぷるんと揺れるのを感じた。


若い男達は息を飲むように静かだった。

使い古され、肌に馴染んだハーフカップのブラが、タンクトップと一緒にゆっくり剥されていき、
完全に乳房が晒された。


恥ずかしすぎてバンザイさせられた腕が震えるのをどうしても抑えられなかった。