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夏休み明けの1週間。

文化祭準備の追い込みだ。

クラスや部活によっては、ここで一気に片を付けるたりもする。

授業時間でも、クラス担任の担当授業なら、準備時間にあてられることもしばしばだ。

朝から美沙樹が、学級委員長と熱心に打ち合わせをしていた。

準備をさぼってばかりの美沙樹にしては、珍しいな、と思っていたら、4時間目に理由がわかった。

「あまり寄り道するなよ」
担任がそう言いながら、美沙樹と教室に入ってきた。

「昼休みの間に戻ってきますって」
教師と話す美沙樹としては異例なほど、上機嫌だ。

「よし、陽菜。

買い出しにいくぞ」
文化祭準備に必要な物品の買い出し。

そのために美沙樹は委員長や担任と交渉していたのだ。


さぼるためなら、どこまでも努力家だ。


「まずは…」
委員長と書き出した買い物リストを眺め…
「だいたい○○で買えるな」
学校からさほどは慣れていないショッピングセンターに行くことになった。

担任から大人数で行くのは許されなかったのか、美沙樹とふたりきり。

由香里たちなら無許可でついてきそうだが、それもなかった。

外出の相方に自分が選ばれたのは、良くて荷物持ちのためだろう。

下手をすれば、ファーストフード店辺りで美沙樹だけがくつろいで、陽菜ひとりで買い出し、というのもあり得る。

「昼もここで食べちゃいたいし、さっさと買っちゃうよ」
とりあえず、ひとりで歩き回らずに済んだようだ。

足りなくなった絵の具やマジック、画用紙やのり、布やビーズ。

ひとつひとつは小さいが、細々といろいろあった。

それらを美沙樹は手際よく買い揃えていく。

事前にシュミレーションしていたのではないかと思うほど、効率的だ。

目的の物を買い終わるまでに30分ほどしかかからなかった。

「よし。

なかなかの好タイム。

さあ、マック行こう」
結局サボるのが目的か。

そう思ったのは、陽菜の勘違いだった。

ショッピングセンターの2階にマックはある。

適当にハンバーガーやシェイクを買うと、美沙樹に先導され一番端の席に来た。

そこは横が透明なアクリル板になっていて、その向こうが1階からの吹き抜けだった。

入り口前の広場で、ベンチに座る親子連れや老夫婦が見える。

平日の日中なので、かなりまばらだ。

丸いテーブル。

ふたりとも吹き抜けに背を向けるように、席に着く。

陽菜が座ろうとしたときに、
「背もたれにスカート引っ掛けて、お尻だしな」
耳元で美沙樹が囁く。

「え?」
陽菜が硬直する。

「逆らうなら、あとで洒落になんないけど?」
数日前に、どうしても実行できない命令があって、そのときにされたお仕置きの記憶がよみがえる。


用具室で全裸にされ、身体のいたるところを洗濯挟みで挟まれたのだ。

乳首も乳房の肉も、おへその縁も、伸びかけの陰毛にも。

クリは皮ごと挟まれ、性器のひだには左右ふたつずつ。

太ももやお尻は、無理やり薄皮をつままれ、脇にまでつけられた。

口唇、舌、まぶた。

鼻の穴の左右と真ん中の三ヶ所を挟まれたときには、あまりの惨めさに泣いた。


「逆らい…ません…」
毎日のように何かしらの責めにあい、命令されると最近では条件反射のように、身体が熱くなる。

「あ、ちょっと待って」
美沙樹の手が、陽菜のお尻を鷲づかみにする。

「ぁっ」
突然のことに声を出したが、賑やかな店内のおかげで、誰も気づかなかった。

「このほうが、楽しいかも」
美沙樹の手が巧みに動く。

お尻の割れ目にショーツの生地が食い込んでいく。

「よし。

座りな」
命じられたとおりにスカートを背もたれにひっかけ、そのまま座る。

お尻に冷たく硬い気の感触。

「ちょっとめくれすぎ?」
横に座る美沙樹が笑う。

横からもピンクの下着が覗いていた。

「下からも見えてるかな、パンツ。

ってか、陽菜のケツ」
椅子の背もたれは、背に当たる場所にしか板がなく、腰から下は後ろから見えてしまう。

ポテトを数本まとめて口の中放り込むと美沙樹は立ち上がり、
「ちょっと下から見てくるから、そのままでいな」
店を出て行った。


スカートをめくり、お尻を露出したまま陽菜は、ひとり取り残された。

あまりの緊張で、脚を硬く閉じる。

何もできず、トレーに乗せられた広告を見つめる。

美沙樹さんが下に到着するまで、どのぐらいの時間だろう…
その間だけでも、スカートを戻しておくこともできたはずだ。

けれど、陽菜の心の中に、美沙樹との約束は守らなければ、という気持ちが存在していた。

毎日義務付けられている、美沙樹の名を呼びながらのオナニーもそうだ。

最初の頃は、証拠として動画を撮ることになっていたが、最近では、始めるときといったときに報告のメールを入れるだけだ。

それだって、適当に時間を見計らってメールだけ入れればいい。

そうしないのは、うまく表現できないが、美沙樹への想いだった。

美沙樹は陽菜を虐めるためなら、労力を惜しまない。

他の者が陽菜を虐めようとすると、相手が男子だろうと、殴りかかってでもそれをとめる。

その美沙樹の気持ちに自分も応えたい、と思うようになっていた。

命令を、約束を守ること。

それが美沙樹との絆のように感じられるのだ。

メールがきた。

携帯を開く。

『マルミエ』とだけ本文があり、下から取った写メが添付されていた。

画像は小さく、よくわからなかったが、そのせいで陽菜がスカートをはいていないように見えた。

下からは、こんな風に見えている…
そう知ってしまうと、余計にお尻に神経が集中してしまう。

椅子の冷たさは消え、下半身が熱い。

アクリルの柵の下は、数センチの隙間があり、そこから吹き上げてくる風が、むき出しの肌を撫で回す。

陽菜は顔まで熱くなるのがわかった。

正面を向く。

若いカップルは大学生だろうか。

小さい子を連れたお母さんもいる。

サラリーマンがこちらをチラ見しているように思える。

自分の意思で下着を食い込ませ、お尻を出してるって気づかれたら、どうしよう…
美沙樹さん、早く戻ってきて…
「よっ」
と美沙樹の姿が見えたときは、安堵から笑みを浮かべてしまった。

「何、お前、きも。

ケツ出して笑うなよ」
美沙樹が隣に座りなおす。

「気づかれないように、下見てみな」
陽菜は、ゆっくり首を美沙樹の方に向け、視線だけを吹き抜けの下に送る。

広場ベンチにサラリーマンがいた。

頭をかく振りをしたりして時折顔を上げる。

あからさまに見上げているおじさんもいた。

店内に入ってきた男ふたりが、歩きながら徐々に顔の角度を上げていく。

ひとりが指を刺した。

「みんな、陽菜のケツ見てる。

下からだと、パンツもあんまりよくわかんないからさ、下半身裸にみえるさ」
写メのせいだと思っていたが、肉眼でもそんな風に見えているのだ。

陽菜は、もう頭の中が恥ずかしさで埋め尽くされていた。

「そのビックマック、食べ終わったら、スカート戻していいよ」
ひと口も食べていない。

こくり、とうなずくと、陽菜はハンバーガーにかぶりついた。

早く食べないと。

注文したときには感じていた空腹など、すっかり消えている。

下半身の熱さが身体を満たしていた。

早く食べないと、こうしている間にも、いろんな人が、自分のお尻をみてるかもしれない。

美沙樹が持ってきてくれた水で、のどのつまりを解消しながら、何とか食べきった。

「スカート、戻していいですか?」
「いいよ。

けど、戻したら、パンツ脱いでね」
さらりと美沙樹が言った。

「ここで…ですよね…」
断るつもりはなくなっていた。

美沙樹さんが隣にいてくれたら、大丈夫。

そんな気持ちになっていた。

「もちろん」
こちらをチラ見していたサラリーマンはもういない。

他にこちらを気に留めている人はいないようだ。

座ったまま、スカートの横に手を入れる。

こんな短いスカートで…正面に人がいたら、見えちゃうかも…
「もたもたしてると、怪しまれるんじゃない?」
スカートに手を入れたまま硬直する陽菜に、美沙樹が囁く。

「うん…」
少し腰を浮かせた。

目だけ動かして、周囲をうかがう。

大丈夫。

下着を下ろした。

一気に膝まで。

身体を折り曲げて、ひざを通す。

そこで止まった。

男性がひとり入ってきた。

ふらふらと席を探す。

こちらを見た。

下着を掴んだまま、陽菜は硬直した。

男性の視線が、ひざまで降りた下着に、その奥の股間に注がれているような気がする。

しかし、男性は表情ひとつ変えず、少し離れた席に、背中を向けて座った。

どうやらテーブルの陰になる角度だったらしい。

「ほら」
促される。

テーブルとひざとの間はあまりない。

膝を上げて、片足ずつ抜くわけにもいかない。

靴を脱ぎ、ショーツが引き抜きやすいようにすると、一気に足首までずり落とした。

踵を上げ、下着を通すと、そのまま爪先を抜いた。


「ちょうだい」
美沙樹が手のひらを出す。

テーブルの上に。

拾い上げたピンク色の薄布を拳の中に握りこんだまま、陽菜はテーブルの上に手を出した。

握り拳の横から、ショーツの端が見えている。

「ほら。

ハンカチ、早く貸して」
美沙樹の言葉がフォローになっているかわからなかったが、拳のまま美沙樹の手のひらに自分の手を乗せた。

手がかすかに震えている。

美沙樹が空いた手を陽菜の拳の上に重ねる。

促されるまま手を開く。

陽菜と美沙樹の手のひらの間で、暖かい布が膨らんでいく。

「よくできました」
陽菜は、美沙樹の手の間から、ゆっくり手を引き抜いた。

「どれどれ、ハンカチはどのぐらい汚れてるかな」
美沙樹が上に乗せていた手のひらをどける。

明るい店内にさらされるピンクの塊。

ゴムの力で小さく丸まっているが、ハンカチには見えない。

「やっ」
手を伸ばして奪い返そうとする陽菜を制し、
「暴れると、スカートめくれるんじゃない?」
「ぁ…」
慌てて、スカートを押さえ、脚を閉じる。

「うあ…」
両手のひらでうまく隠しながらもテーブルの上で、美沙樹は下着を裏返した。

「ぅ…」
それをみて陽菜は、性器の奥が締め付けられるような感覚になった。

蛍光灯とそれを上回る天窓からの陽光に照らされ、陽菜の下着の性器を包んでいた部分は、ぬめぬめと光る痕を残していた。

「変態」
ひと言囁くように。

美沙樹の声は楽しそうだ。

「今、スカートの中、どんな感じになってるの」
スカートのポケットに下着をつめると、残りのポテトを食べながら聞いてくる。

「スカートが短いので、お尻の下の方が、椅子に直接当たって冷たいです」
か細い声で答える。

「それから?」
続きを求める美沙樹の声。

毎晩のオナニーの際、たまに美沙樹から実況しろと電話がかかってくることがある。

自分の指の動き、感じ具合、性器の濡れ、緩み方。

事細かに説明させられる。

そのときと同じ口調だった。

「それと、あそこの…」
「ん?」
電話での実況は、漠然とした表現を許して貰えていない。

「ま…」
こんな人のいる場所で、その言葉を口にするのは初めてだった。

声が震える。

「ま…んこの…お尻に近い側も、椅子に当たって、冷たくて…」
冷たいです、と言ってしまうだけで良かったのに。

「…気持ち…いいです」
「こんなことして気持ちよくなっちゃうんだ。

じゃ、ま○こ濡れてる?」
「たぶん…」
「ちゃんと確認した?」
陽菜は身体が固まる。

深く息を吸い込んで、呼吸を止める。

そろそろとスカートに手を入れ、中指の先で割れ目をなぞった。

「ん…」
なぞるだけのつもりだったのに、簡単に第一関節まで潜り込んでしまった。

「濡れて…ます」
手を引き抜く。

その手を美沙樹は掴み、テーブルの上に乗せる。

下着以上に、生々しく光る指先。

「どうして?」
「陽菜は…」
電話でしか、自分の部屋でしか伝えたことのない言葉…
「陽菜は、裸を見られて感じる…変態なので…」
呼吸が荒くなる。

頭が白くなる。

「たくさんの人にお尻をみられて、恥ずかしくて…」
スカートの裾をぎゅっと掴む。

「美沙樹さんに命令されると…それだけで、身体が熱くなって…」
美沙樹の表情が少し、驚いたようになった。

今まで言ったことのない台詞。

「美沙樹さんの隣で…感じてるって思ったら…」
身体が熱いのに、鳥肌の立つような感覚。

腰の中がずきずきする。

「私が、陽菜の感じてるのに気づいてたら、どうなるの?」
美沙樹の瞳。

心の奥まで見つめられている気持ちになる。

声が震える。

頭の中が美沙樹でいっぱいになる。

「余計…恥ずかしくて…ん…気持ちよくて…」
陽菜の身体が小さく震える。

自分の身体を抱く。

抑えないと弾けそう。

「ゃ…だめ…助けて…」
身体を襲う波が大きくなる。

とめられない。

「いきそうなの?」
美沙樹が静かに聞く。

陽菜は頷くだけで精一杯だ。

「こんな人前で、下半身さらけだして、恥ずかしいのに感じてるの?」
耳から身体の内側を刺激する愛撫のような声。

「私に命令されるだけで、ま○こぐちゃぐちゃに濡らしてるの?」
身体が震える。

頷くことさえできない。

「いきなさい」
美沙樹が陽菜を強く抱きしめた。

きつく、優しく。

「はぃ…」
美沙樹が押さえ込んでくれる中で、陽菜は痙攣を繰り返す。


意識が戻ってきたとき、シャツの上から美沙樹の肩を噛んでいることに気づいた。

「大丈夫?」
痛みなど顔に出さず、美沙樹が頭を撫でる。

「テストの点数悪かったぐらいで、いちいち泣いてってしょうがないだろ」
テスト?
焦点の合ってきた目で周囲を見渡すと、こちらを見ている人たちが何人かいる。

「うん…ごめんなさい…」
私、こんな人前で、いってしまったんだ。

そんな私のこと、美沙樹さんは、ずっと抱きしめてくれていた。

私は意識が跳んだからわからないけど、美沙樹さんは、周囲の人たちが注目していることを知っていたはずだ。

それでも、ためらわずに…
「ごめんなさい…」
陽菜はもう一度言うと、本当に涙をこぼした。

「ほら、そろそろいかないと、先生に怒られるし」
ポケットから出したハンカチで、陽菜の涙を拭いてくれた。

そのピンク色に見覚えがあって、陽菜は固まる。

「このハンカチが、何か?」
美沙樹が楽しげに微笑んだ。


マックを出ても美沙樹は、下着を返してはくれず、そのままふたりはショッピングセンター内を歩き始めた。

陽菜は、美沙樹の腕を掴んでいた。

まだ、頭と身体がふわふわとしている。

「いった」と表現するのが正しいのか、よくわからない。

初めての感覚だった。

全身が暖かな充足感に包まれ、それは脳内まで満たしている。

「すっげー間の抜けた顔してるんだけど?」
美沙樹が顔をのぞき込んでくる。

これだけ陽菜を辱めておいて、まだやりたりない、という顔。

「もう…戻ろうよ…」
身体がおかしい。

立っていられない。

というより、横になって、この余韻に浸っていたい。

「それでいいの?」
え?いいに…決まっている。

それなのに、迷ってしまった自分がいる。

腰の中に溜まった熱さが、治まることなく疼いている。

「このまま教室に戻って、みんなの前で普通の顔していられる?」
美沙樹の問いに、陽菜は首を横に振っていた。

自分でもどうすることもできない感覚。

「じゃあ、いかせてほしい?」
頷く。

美沙樹なら、自分ではもうどうすることもできなくなったこの身体を救ってくれるように思えた。

「じゃあ、私のいうことに服従だからね」
「はい…」
服従…その言葉だけで、身体が溶けていきそうだった。


ショッピングセンターの2階の通路は、中央が吹き抜けになっていて階下を見下ろせる。

当然1階から見上げたら…
陽菜は、吹き抜け側を歩かされた。

下を向かないよう視線をそらす陽菜に、
「ちゃんと下を見な。

誰にみてもらえたか、ちゃんと確認しなよ」
1階を歩く人たちは、それがマナーであるかのように、見上げることはなかった。

見上げたからといって、陽菜のスカートの中が、はっきり見えるわけでもない。

それでも、真下から突き上げてくる視線を感じ、陽菜は吐息を荒くしていた。

「美沙樹さん…」
助けてもらえるどころか、身体の疼きはひどくなる一方だ。

マックの店内では、このまま頭の中が白くなったが、それもない。

一度達した身体は、それ以上の本質的な快楽を求めていた。

「少し、座るか」
前方に見えるベンチを指さす。

「由香里からのメールも返したいし」
ふたりはベンチに座る。

「まん汁ついたら困るから、スカート下にしないように座りな」
硬い感触がお尻にめり込む。

数枚の板が透き間を空けて並べられた作りで、板の一枚一枚が微妙に湾曲している。