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盗撮について。

【衝撃事件の核心】
対岸から盗撮される京都・鴨川カップル“あられもない姿”…無音カメラで近づくスマホ
2013.5.109:00(1/4ページ)[westセレクト]

カップルらが等間隔で並ぶことで知られる鴨川の河川敷。

対岸から盗撮カメラが狙っていた事件も発覚した
 絶妙の距離を空け、多くのカップルが等間隔に座って「2人の時間」を過ごすことでも知られ、夏場には納涼床で名高い京都市の鴨川で、対岸から女子高生の下着を盗撮したとして、京都府迷惑行為防止条例違反容疑で同市立高校の元非常勤講師の男(58)=同市左京区=が、京都府警に逮捕される事件があった。

押収画像は約1万5千枚に上ったが、その手口は望遠レンズさえ使わない、お手軽なものだった。

デジタルカメラやスマートフォンの高性能化で続出するあまりにお安い盗撮犯たち。

ゴールデンウイーク(GW)に入り京都の観光地では、薄着の女性たちも増えてきただけに、自衛も肝心だ。

盗撮犯は思わぬところから狙っている。
普通のデジカメ…対岸40mでも遠くない?

 鴨川の両岸は、川幅と広い河川敷を挟んで40メートル前後離れている。

対岸から撮影するとなると、望遠レンズなどを使っていたように思われるが、捜査関係者によると、実際に男が使っていたのは「特殊な細工が施されているわけではなく、一般向けに販売されているごく普通のコンパクトデジタルカメラ」だった。


 胸より下にカメラを構えひたすら連写するというある意味古典的な隠し撮り。

1人あたり40~50枚撮影してアタリを狙っていたという。


 京都府警は実証実験を行い、同様のカメラで対岸からの撮影が可能であることを確認済みだ。

幹部の1人は「手ブレ補正機能など、一般向けのカメラでも性能はかなり高い。

特別な技術がなくても、ズームするだけで撮影が可能だった」と話す。


 悪用するかどうかの違いだけで、今や誰もが高性能の「盗撮グッズ」を持ち歩いている時代と言っても過言ではない。


 そもそも、男が犯行に手を染めるようになったのも、カメラ好きなら誰もが遭遇するかもしれない、ある出来事がきっかけだった。


(次ページ)恋人ばかりの川辺…成功体験に味しめ、逆にバレた

偶然のワンショット

 男が犯行を重ねていたのは、賀茂川と高野川が合流する出町柳駅付近から四条大橋付近までの約3キロ。

京都情緒あふれる著名な観光コースでもある。


 約3年前のことだった。

「対岸に座っていたアベックがイチャイチャしていたところが偶然、写真に入っていて…」。

捜査関係者によると、盗撮を始めたきっかけについて男はそう供述したという。

鴨川の岸辺には等間隔で腰掛け、語り合ったり、イチャつくカップルが多い。


 当初は、他の写真愛好家のように鴨川の景観撮影を楽しむだけだったという男のカメラに、じゃれあうカップルのあられもない姿が意図せず写り込んだ。


 「そこから盗撮の興奮を覚えてしまったようだ」(捜査関係者)。


 以来、男はターゲットを物色しながら、付近を“散策”するのが日課になっていったらしい。

「(スカート内の)下着がはっきり写る日中の明るい時間帯が狙い目だった」とも供述しているというが、それは手口の稚拙さの裏返しともとれる。


 ただし、いくら自然な素振りを装っても、胸の下のカメラで、女の子ばかり連写して歩く中年男の姿はやはり異様だった。


 昨年10月には、通行人から「河川敷にあやしい男がいる」と警察に通報が寄せられるようになった。


(次ページ)楽々1.5万枚…盗撮は氷山の一角

 逮捕後、男は「ムラムラして性的好奇心からやった。

申し訳なく思っています」と容疑を認め、取り調べにも素直に応じているという。


 家宅捜索の結果、男の自宅パソコンから、女性を盗撮したとみられる約1万5千個もの画像データが押収された。


今や定番「スマホ盗撮」

 そして、今やお手軽盗撮の定番ツールとなっているのが、スマホだ。

府警生活安全対策課によると、平成24年中の府内の盗撮検挙件数(暫定値)は79件。

その大半がスマホやデジカメによる犯行だ。


 実は、この元非常勤講師を逮捕したのと同じ1月29日、府警は、JR京都駅構内の上りエスカレーターで、女子高生(18)のスカート内にスマホを差し入れた大阪府高槻市の派遣社員の男(39)を京都府迷惑行為防止条例違反容疑で現行犯逮捕している。


 同月31日には、京都市下京区の家電量販店の携帯電話売り場で、ボストンバッグのポケットにスマホを入れ、女子中学生(14)のスカート内を動画で盗撮した同市南区の男(25)が、同容疑で逮捕された。

この事件では、女子生徒と一緒に商品を見ていた父親(43)が、男の不審な動きに気付き、その場で取り押さえた。


 しかし、ほとんどの事件では、被害者は盗撮されていたことに全く気づいていない。

検挙されるのは、氷山の一角に過ぎないのが現実だ。


(次ページ)観光シーズン、府警も厳戒「遠慮なく逮捕するよ」

 スマホ盗撮を容易にしているのは、シャッター音を鳴らさずに撮影できる無音の「カメラ」アプリ。

無料でダウンロードできユーザーから高評価を得ている。


 ただ、こうしたアプリは、レストランで音を出さずに料理を撮影するなど、正当な使用のために提供していることが建前になっている。


 「アプリ自体を規制することは難しい。

現状では利用者のモラルに頼るしかない状態」と話す捜査幹部は、日々、カメラや複数の携帯電話を持ち歩く記者にもこうクギを刺した。


 「君も取材の参考のつもりでも、どっかで試してみよなんて思わんことやで。

見つけたら、遠慮なく逮捕するからね」
【衝撃事件の核心】
対岸から盗撮される京都・鴨川カップル“あられもない姿”…無音カメラで近づくスマホ
2013.5.109:00(1/4ページ)[westセレクト]

カップルらが等間隔で並ぶことで知られる鴨川の河川敷。

対岸から盗撮カメラが狙っていた事件も発覚した
 絶妙の距離を空け、多くのカップルが等間隔に座って「2人の時間」を過ごすことでも知られ、夏場には納涼床で名高い京都市の鴨川で、対岸から女子高生の下着を盗撮したとして、京都府迷惑行為防止条例違反容疑で同市立高校の元非常勤講師の男(58)=同市左京区=が、京都府警に逮捕される事件があった。

押収画像は約1万5千枚に上ったが、その手口は望遠レンズさえ使わない、お手軽なものだった。

デジタルカメラやスマートフォンの高性能化で続出するあまりにお安い盗撮犯たち。

ゴールデンウイーク(GW)に入り京都の観光地では、薄着の女性たちも増えてきただけに、自衛も肝心だ。

盗撮犯は思わぬところから狙っている。


普通のデジカメ…対岸40mでも遠くない?

 鴨川の両岸は、川幅と広い河川敷を挟んで40メートル前後離れている。

対岸から撮影するとなると、望遠レンズなどを使っていたように思われるが、捜査関係者によると、実際に男が使っていたのは「特殊な細工が施されているわけではなく、一般向けに販売されているごく普通のコンパクトデジタルカメラ」だった。


 胸より下にカメラを構えひたすら連写するというある意味古典的な隠し撮り。

1人あたり40~50枚撮影してアタリを狙っていたという。


 京都府警は実証実験を行い、同様のカメラで対岸からの撮影が可能であることを確認済みだ。

幹部の1人は「手ブレ補正機能など、一般向けのカメラでも性能はかなり高い。

特別な技術がなくても、ズームするだけで撮影が可能だった」と話す。


 悪用するかどうかの違いだけで、今や誰もが高性能の「盗撮グッズ」を持ち歩いている時代と言っても過言ではない。


 そもそも、男が犯行に手を染めるようになったのも、カメラ好きなら誰もが遭遇するかもしれない、ある出来事がきっかけだった。


(次ページ)恋人ばかりの川辺…成功体験に味しめ、逆にバレた

偶然のワンショット

 男が犯行を重ねていたのは、賀茂川と高野川が合流する出町柳駅付近から四条大橋付近までの約3キロ。

京都情緒あふれる著名な観光コースでもある。


 約3年前のことだった。

「対岸に座っていたアベックがイチャイチャしていたところが偶然、写真に入っていて…」。

捜査関係者によると、盗撮を始めたきっかけについて男はそう供述したという。

鴨川の岸辺には等間隔で腰掛け、語り合ったり、イチャつくカップルが多い。


 当初は、他の写真愛好家のように鴨川の景観撮影を楽しむだけだったという男のカメラに、じゃれあうカップルのあられもない姿が意図せず写り込んだ。


 「そこから盗撮の興奮を覚えてしまったようだ」(捜査関係者)。


 以来、男はターゲットを物色しながら、付近を“散策”するのが日課になっていったらしい。

「(スカート内の)下着がはっきり写る日中の明るい時間帯が狙い目だった」とも供述しているというが、それは手口の稚拙さの裏返しともとれる。


 ただし、いくら自然な素振りを装っても、胸の下のカメラで、女の子ばかり連写して歩く中年男の姿はやはり異様だった。


 昨年10月には、通行人から「河川敷にあやしい男がいる」と警察に通報が寄せられるようになった。


(次ページ)楽々1.5万枚…盗撮は氷山の一角

 逮捕後、男は「ムラムラして性的好奇心からやった。

申し訳なく思っています」と容疑を認め、取り調べにも素直に応じているという。


 家宅捜索の結果、男の自宅パソコンから、女性を盗撮したとみられる約1万5千個もの画像データが押収された。


今や定番「スマホ盗撮」

 そして、今やお手軽盗撮の定番ツールとなっているのが、スマホだ。

府警生活安全対策課によると、平成24年中の府内の盗撮検挙件数(暫定値)は79件。

その大半がスマホやデジカメによる犯行だ。


 実は、この元非常勤講師を逮捕したのと同じ1月29日、府警は、JR京都駅構内の上りエスカレーターで、女子高生(18)のスカート内にスマホを差し入れた大阪府高槻市の派遣社員の男(39)を京都府迷惑行為防止条例違反容疑で現行犯逮捕している。


 同月31日には、京都市下京区の家電量販店の携帯電話売り場で、ボストンバッグのポケットにスマホを入れ、女子中学生(14)のスカート内を動画で盗撮した同市南区の男(25)が、同容疑で逮捕された。

この事件では、女子生徒と一緒に商品を見ていた父親(43)が、男の不審な動きに気付き、その場で取り押さえた。


 しかし、ほとんどの事件では、被害者は盗撮されていたことに全く気づいていない。

検挙されるのは、氷山の一角に過ぎないのが現実だ。


(次ページ)観光シーズン、府警も厳戒「遠慮なく逮捕するよ」

 スマホ盗撮を容易にしているのは、シャッター音を鳴らさずに撮影できる無音の「カメラ」アプリ。

無料でダウンロードできユーザーから高評価を得ている。


 ただ、こうしたアプリは、レストランで音を出さずに料理を撮影するなど、正当な使用のために提供していることが建前になっている。


 「アプリ自体を規制することは難しい。

現状では利用者のモラルに頼るしかない状態」と話す捜査幹部は、日々、カメラや複数の携帯電話を持ち歩く記者にもこうクギを刺した。


 「君も取材の参考のつもりでも、どっかで試してみよなんて思わんことやで。

見つけたら、遠慮なく逮捕するからね」

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