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小学生の時の話。

当時、俺は太っていたんだけどね。

だから、体育の時間の短距離走はクラスで一番遅いし、長距離走はバテて完走出来ない様な小学生だった
だから喧嘩も弱かったし、ついでにいうと頭も悪かったし先生には毎日めちゃくちゃ叱られたりしてた

ただ、小学校に入ってから一度も泣いたことが無かった
何故かというと、小学校に入学すると同時に亡くなった父親と、絶対に泣かないと約束していたから
だから、どんなに悔しくても泣くことだけは無かったなー

そんなダサダサで、だけどちょっとだけプライドの高かった太った半ズボンの小学生にとあるイベントが訪れた

それは、4年生の二学期だったかな?学校の企画で
昼休みに校庭のグランドを走ってその周回数を毎日付けるってがあったんだよね
で、最初の内はみんな頑張って走ってたんだけど、流石に小学生の昼休みだけあって
ドッチボールしたり、鬼ごっこしたりして遊んでる方が楽しいからって、みんな走るの止めちゃったんだよね

でも、俺はボッチって程でも無かったけど、自分から遊ぼうって声掛けないと誘われない程度の存在だったし
痩せたかったってのもあって、一人でコツコツ走っていた
しかし、二学期も後1ヶ月って頃に先生から重大発表があった
昼休みマラソン各学年上位3名には終業式で表彰状を出します!とのことだった
それを聞いて、俺は必ず表彰状を貰うと決めた

しかし、みんなもまたマラソンに燃え始めちゃったw
みんなマジになったら速いしw何周回るんだよwwwって感じだったんだけど
でも俺はみんなが走って無い日も走ってたんだぞ!今更負けてたまるか!って気持ちで走り続けた

そして終業式当日、予定通り学年別に発表があり、一年生から順番に表彰状が渡されていった
俺は4年生の部の三位だった


しかし、続く

俺は正直悔しかった

もしかしたら、一位かも!っていう手応えもあったからね
でも、まあ本当だったら入賞どころか、みんなが最初サボっててくれたお陰で三位にまでなれたんだし
そう思ったら、充分な結果だよなと諦めて
三位の表彰状を受け取り自分のクラスに戻ったんだけど
そこでみんなが口々に、こう言ってくれたんだな

「本当は蠍くんが一位だよ絶対!」
「他のクラスの奴らもみんなズルしてたしな!」
つまり、みんな本当に走った周回数より毎日一周づつ水増ししたり、半周走っただけで一周って付けたりと結構いい加減だったらしいw
そして、一位と二位の奴らは隣のクラスだったんだけど、そいつ等のクラスは特にそれが酷かったらしく
俺のクラスの何人かが「今から抗議しに行こう!」と言い出しちゃって、クラス中が盛り上がり始めてしまった

結局そこは俺が「もういいよ!充分だからホント、ありがとう」と何とかその場を納めたんだけどね
そして、騒ぎが納まったあと、よく考えてみればみんな俺が毎日走ってたのを見てくれていたんだなと気が付いた

そして、毎日一人で走ってた俺の頑張りをを無駄にしないよう、みんな自分のことの様に熱くなってくれたんだなと思うと
やっぱり一位取りたかったなと悔しくて、でもみんなの気持ちが嬉しくてちょっと恥ずかしくて泣いてしまったw

小学校に入学してからそれまで、たった一度も泣いたことが無かった俺を一発で泣かせたクラスメート達の武勇伝

ご静聴ありがとうございました!
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