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最近、結婚式で、友人と一緒に新婦への復讐をしてきた。

同じゼミだった女の子(A子)の結婚式。


新婦はキャバ嬢してたり、いろいろな過去があった。

常に4股、5股をしていたり。

そういう意味で派手な女性だった。

でも別に本人は楽しそうだったし、何も気にせず一緒に授業を受けたり、学食に行ったりしていた。


通ってた大学は、地味で古風な、小さな女子大だった。

私はそういうところが好きだったし、祖母の憧れだったのを聞いてたから入学した。

でもA子は「楽しいキャンパスライフ」みたいなのを妄想していて、つまらなかった様子。

そこでA子はみんなを誘って、あるサークルに入った。

20人ほどの男の子が「スタッフ」、参加する女の子が「メイト」と呼ばれる、いわゆるイベントサークル。

その少し前にスーフリとかがニュースになってたけど、あまりの女の子の多さに(70人ほど)、危機感は感じなかった。

今でもそんな甘かった自分を少し悔やんでる。

私はバイトに忙しくて時々しか参加しなかったけど、A子は中心になっている男の子とすっかり仲良くなっていた。


でもある時、みんなで行った旅行。

昼はビーチバレー、夜は花火、民宿に戻ってからはOB以外全員でゲームをした。

「この中で一番○○そうな人は?」という感じのお題が出され、みんなが同時にそのお題に合いそうな人を指差すゲーム。

一番指された人が一気飲みをするという内容。

何度かそんな理由で一気飲みをする羽目になった。


20歳になったばかりで、お酒に慣れてなくて酔い潰れてしまった。

…そう思ってた。

朝起きたら、私ともう2~3人の女の子、数人の男の子が寝ていた。

全裸で。

それが私の初体験だった。

ほとんど記憶はなかったけれど、ショックだった。

そして、他校生も多い中、そこにいた女の子がみんな同じ大学・学科だったことに、不審を覚えた。

たまたま同じ学校の子達だけが酔い潰れるだろうか?
そして何より、一気飲みしたのは数回を合計しても瓶ビール一本ぐらいの量。

ここまで意識がなくなるものかと。


その旅行に参加してたOBのお兄さんが、私を可愛がってくれていたので、恥ずかしかったけれどこっそり相談した。

するとすぐにその人は、民宿の一室に男の子達を全員集めて、私の名前を出さずに前夜のことを問いただした。

スタッフが自分から女の子にアドレスを訊くことすら禁止なのに、手を出したのはどういうことかと。

しかも合意の上ではなく、わざと潰して無理に犯したのはあまりに悪質だと。


縦社会のそのサークルで、OB自らが詰問したので、男の子達はしどろもどろになりながら答えた。

あれは、こっそりA子が仕組んでいたと。

誰かを潰してヤレるようにしたら、A子の旅行参加費を無料にするという約束をしたのだと。

だからA子の提案で口裏を合わせて、あらかじめお題と誰を指差すかを決めていたのだと。

A子がお酒に慣れてない私達に絞って、酔いつぶれるまで飲ませるように言ったのだと。

お酒もA子が用意し、風邪薬か何か混ぜていたのだと。

押入れで盗み聞きしていた私達は、こっそり泣いていた。

されたことへのショックもだけど、妊娠する可能性への恐怖感も、A子への怒りもごちゃ混ぜで、訳が分からなかった。


そのまま、何事もなかったかのように、A子とは付き合いを続けた。

あくまでも表面的だったけれど、内心思っていたから。

「いつか何かしてやろう」と。

ただ、もう怖くてサークルには行かなかった。

1年後には飽きて、A子も行かなくなっていた。


卒業後は、時折メールのやりとりをする程度だった。

付き合い始めた彼氏は、そんな出来事も知った上で、私を大切にしてくれた。

A子に復讐したいという気持ちも、少しずつ薄らいでいた。


昨年秋に

「みんなにお話があります。

おめかしして○○ホテルでディナーでもいかが?」

と言うメールが届いた。

そこで、結婚すると聞かされた。

あのA子が人並みに落ち着いて家庭を持つ気になったのか、と思った。

自分に重ね合わせて、「この人も相手の親に緊張しながら挨拶とかしたんだろうな」と思うと、怒りがさらに薄れていった。

もうこの人への復讐を考える必要はない、私も幸せになればいいと思った。


けれど、年始に合った時に、新婦は自慢気に言った。

結婚は計算づくだったと。

避妊に失敗したみたいで妊娠したって嘘をついて、結婚に持ち込み、話が進んでから想像妊娠だったみたいと言ったらしい。


「婚活なんかするよりよっぽど賢いでっしょー?」

と言っていた。


ちゃんと避妊して、それでもできた子供を堕ろせとは言わずに結婚しようと言った。

そんなちゃんとした普通の人を騙したのか、これからもこの人はきっとずっとこうなんだと思った。

悪いこととは分かっていたけれど、復讐したいとその時久しぶりに思った。


式への出席を断る人が多くて、ゼミからは私ともう1人(同じ目に遭った人)だけが出席した。

祝いたかったわけでも、断れなかったわけでもなく、目的があった。


披露宴にあたり、色紙を用意した。

先に真ん中に大きなハートを描き、その中に私達2人で書き込んだ。


「学生時代に貰ったプリクラ、A子らしいから貼っておくね!」

A子がそのサークルの男の子達と撮ったプリクラを数枚貼った。

一人の男の子とだったら痛いバカップルだけど、同じ服で複数の男の子と写っていた。

キスしてたり、スカートの中に誰かの手が入ってたり、立ったままだけどそれっぽい体位になってたり。

ラクガキには「エロ全開☆☆」と書かれていた(そんなのをくれるのもどうかと思うんだけど)。

お色直し中に新郎友人席に回した。


他の出席者の目にも留まり、新郎親戚が固まっていた。


「おい!こんなとんでもない不良娘と結婚するんか!これは何や!」

と新郎叔父(たぶん)が立ち上がり、叫んだ。

会場は騒然となって、まだプリクラを見ていない人が、その周りに集まった。

新郎両親が

「ちゃんとした家のお嬢さんだと思って結婚を許したのに!」

と新婦両親に詰め寄った。

新婦両親は何も言えなかった。

まさかそこまで派手に遊んでいるとは思ってなかったのだろう。


新郎も

「お前そんなにも遊んでたの?」

と宇宙人を見るような目で新婦を見ていた。

私達の仕業と気付いた新婦は

「なんでこんな酷いことしたのよ!私が何したって言うの!?」

と私達に言った。


「あんたが私達を2万で男の子達に売ったからよ。

いっぱいやりすぎて忘れたの?」

とだけ答えた。


当然ながらこの結婚は即破談になった。


「学生時代の話でしょ!6年も前の!若気の至りでしょ!もう落ち着いたもん!」

と新婦は叫んでいたけれど。

でも新郎は

「信じられない。

そもそもここまで友達に恨みを買う時点でおかしいだろ」

とバッサリ。


やりすぎたかもしれない。


「私が何したって言うの!?」

という言葉には心底呆れた。

でも後悔しないことにする。
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