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彼氏に捨てられてどうでもいい男をヤリ捨てした時の話。



どうでもいい男をヤリ捨てしたきっかけは、恋人に捨てられたことだった。


半年前に急に恋人と連絡つかなくなり、しばらくして、これが自然消滅だなと気付いた。


メールも届かない、電話も繋がらなかった。


でも、音信不通になった後も、一縷の望みを持って、一人ではしなかった。
というより、恋人に連絡がつかないから性欲なんて湧かなかった。


でもある日、急に恋人のフェイスブックのページが見れなくなった。


共通の友人に何気なく聞いてみると、その友人からはページが見れた。


ここで初めて避けられてることに気付いた。


もうそこからは早かった。


急に今まで忘れていた性欲が溢れ出てきて、とりあえず誰でもいいからやりたくなった。


そのままバーに行って持ち帰りしてもらおうと思い、歌舞伎町の店に行った。


色んな人にお酒を奢ってもらって、ちょうど彼女いるっぽい後腐れなさそうな男にホテルを誘われた。


でも理性が残っていて、そのまま終電で逃げて帰ってきてしまった。


自己嫌悪に陥りながら、とりあえず出会い系風のアプリをダウンロード。


色んな男の人に某無料電話や、メッセージ交換できるアプリのアカウントを教えた。


毎日色んな人と電話した。


その中で一人、朝昼晩関係なく電話よこしてきて、出会う気満々の男がいた。


その熱意さに心を打たれ、次の日出会うことにした。


なぜか、直アド、電話番号聞いてきたし、聞いてもないのに教えてきた。


とりあえず教えといた。


私はとりあえずヤリたいだけで、1回だけの関係がよかったが、「デートに行こう」だの「旅行に行こう」だの無料電話で散々言われた。


これが出会い系の手口なのかなぁなんて思ったのだが、こいつ以外にそんなやつ一人も居なくて逆に興味が湧いた。


向こうが一方的にしゃべっているだけの電話なのに、「俺たち超気が合うね!」とか。


向こうの好きなタイプと私がかけ離れていることを伝えると、「あ、でも俺の好みに合わせる必要ないよ!問題は似合ってるかどうかだから!!」などとフォローしてくるバカだったのも実際に会ってみたくなる要素の一つではあった。


メールは30歳近い男の文とは思えないほど小文字や顔文字も多く、正直キモかった。


実際会ってみると、普通。


ただ、ファッションが暗黒系。


チェーンとか英字とか黒とかそんなやつ。


顔は普通。


ファッションが暗黒系だから逃げようかなぁとも思ったけど、勿体無いから車に乗った。


車に乗ると向こうハイテンション。


男「こういう時ってどう言うの?はじめまして?かな?(照)」

私「いや、(この時、ぼんやり綾波思い出してた)なんでもいいんじゃん?」

たぶんテンションの差はかなりあったと思う。


一応中出しとかされたら困るから、ホテルから出て駅に無事着くまでは冷たくしないようにしといた。


運転中、マニュアルのくせに、「手繋ご♪」って言われた時は怖かった。


でも夜で、他の車も少なかったし、色々あるから手繋いだ。


すごく嬉しそうだった。


顔の皺とか見た目は大人の男性だったけれど、口調や反応はとても大人ではなかった。


車の中では手繋ぐ以上のボディタッチはなかったが、信号で止まるたび顔をまじまじと見られた。


何度も「こっち見て」と言われたが、2回に1回は「恥ずかしい」と言って断っといた。


ホテルのロビーで、向こうは入浴剤だのシャンプーだのに大喜び。


ウェルカムドリンクにも大喜び。


部屋に着くと、とりあえずウェルカムドリンクで乾杯した。


喉渇いていたし、私も緊張していたから生ビール一気飲みしといた。


でもこの生ビール、全然美味しくなかった。


暗黒系に美味しくないことを告げると、聞いてもいないのに海外のビールの美味しさについて語りだした。


なんでも留学経験があるらしかった。


暗黒系はしばらく一人でしゃべってた。


適当に相槌打っといた。


ぼんやり聞いてたらいきなりキスされた。


普通のシャツなのに脱がせ方が判らなかったらしく、あまりスマートではなかった。


「調教してあげる」って言ったくせに。


でも別に暗黒系がなんだろうが、男で避妊してくれるなら本当になんでもよかったから服は全部自分で脱いだ。


少しつまんなそうにしてるようにも見えたけれど、今回の目的は私の性欲解消だから気付かないふりしといた。


暗黒系は『おっぱい星人』と自称してた割には、ほとんど触らないまま、太ももを撫で回してきた。


相手のこと好きじゃなくても、なんとも思ってなくても発情ってするんだね。


いつも通りすっごく濡れてたと思うし、局部を触られる前におねだりしてた。


暗黒系は普段は避妊しないらしかったけど、なぜか避妊してくれた。


普通、どうでもいい女には生で中出しとかって聞くから、まぁいい人だなぁって思った。


ただ挿入中、なんか局部がチクチクするの。


なんだろうって思って見ると下の毛がすっごく処理されてた。


それが当たってすっごく不愉快だった。


でも気持ちいいの。


不思議だなぁって思ってたら、今度は額に水が垂れてきたの。


冷房の結露かなぁって顔を上げると、暗黒系が尋常じゃない汗かいていた。


まだ始まったばかりなのに、もう髪の毛ビッチョリ。


動くたびに私の顔に汗がかかった。


これが好きな人だったら、抱き締めたり、汗を舐めたくなるんだろうなぁって思った。


暗黒系は言わせるのが好きらしく何度も、「どう?すっごい濡れてるけど?」とか、「どこに出して欲しい?」って聞いてきた。


ゴムしてるから私が困ると、「中、もしくは奥に出して」と答えるように言われた。


こういうのが暗黒系的には調教だったのかな?

1回目が終わると体をベタベタ触ってきた。


まったく休ませる気はなかったようだけど休ませてもらった。


ぼーっとしていると、「ねぇ、俺たちってどんな関係?」ってすっごく聞いてきた。


そのほとんどを聞こえないふりしておいた。


2回目が終わって、また暗黒系は「俺とお前ってただのヤリ友?」って聞いてきた。


なんだかその音が嫌いだったから、聞こえないふりしてお風呂に入るように言った。


テーブルの上に暗黒系のスマホがあった。


ロックが掛かってなかった。


着暦、私の電話帳を消した。


アプリの会話も消しておいた。


画像フォルダに私の写真がないことを確認して、そのまま元あった場所に置いといた。


その後は普通にテレビ観ながら寝ることにした。


暗黒系は私の体をやたらマッサージしたがったり、つむじから足の裏までキスさせてくれと頼まれたり、相変わらず理解不能だった。


でも性的快感が得られるならいいかと、キスは私の体勢が辛くないかぎりOKした。


背中と局部を主にキスされた。


何がしたかったのかよく判らなかった。


ただ暗黒系が『彼女募集中』というのはよくわかった。


やたら行為中や事後に、富士急やら海やらを誘われた。


ここで断って中出しとかされたら困るから、笑顔で頷いといた。


暗黒系はやたら口同士のキスをしたがった。


恥ずかしがるふりしてあまりキスはしないようにした。


「ねぇ、俺ヤリ友やだ」

また言い出した。


その後もなぜか付き合うことを匂わしてきた。


で、やたら容姿を褒めてきた。


「俺、夏の女の子のショーパン好きなんだよね。

今度会う時に着てきてよ。

太陽の下のお前の足が見たい」

なぜ、次がある前提なのだろう?

しかも言い回し半端ない。


なんて思っていたら、何かを察したのか、「あ、でも俺は『お前の隙間を埋める』って約束だったね、ごめんね。

可愛いよ」みたいなことを言ってきて抱きつかされた。


色々限界だった。


運よく暗黒系がお風呂から出てきて、スマホは弄ってないけれど、いつバレるかヒヤヒヤした。


スマホの近くに行かないようにしばらく抱きついておくしかないけれど、好きでもない人に抱きつき続けるのは楽ではなかった。


抱きついてるとなぜか私の体びっしょり。


暗黒系は寝てるだけなのにすっごく汗かいてた。


ホテルの中、冷房ついてるのに。


それに対して、暗黒系がなんか言ってた気もするけれど忘れた。


しばらくしてテレビがフランス語だかドイツ語だかの会話が始まった。


暗黒系なぜか必死wwwwwwww

「おーwこれ俺しゃべれる」

本気で知らねぇぇぇぇw

そこから留学時代のドヤ話が始まった。


なぜか途中で日本での武勇伝に変わっていたが。


いずれにせよ、暗黒系がスマホを弄りに行かないから安心してた。


そうこうしていると本当に眠くなったので寝かせてもらった。


ただ、暗黒系が腕枕したがった。


腕枕ってよく情が移るからしないって聞いてたから少し驚いた。


でも腕枕をしていればスマホ弄りに行かないと思ったから、そこは甘えて腕枕してもらった。


恋人にしてもらう腕枕と全然違った。


腕痛くないかとか、キスしたいとか、もっと近寄りたいとか、幸せとか、そんなの感じなかった。


暗黒系の方を向かずにそっぽ向いてると、「向かいあって寝よう」と提案されたけれど、どうしても嫌だったから寝たふりしといた。


すると暗黒系が空いてる手で私の肩を撫で回していた。


首から肩、腰の辺りまですっごくキスされた。


気付いたら寝てた。


朝は私の方が早く起きた。


でも朝から活発に動くとたぶんまたベタベタすることになるから、いつも以上に寝ぼけたふりしておいた。


スマホの充電とかも敢えてしないでおいた。


しばらくするとモーニングの電話が鳴った。


そのへんは全部暗黒系に任せた。


暗黒系は、私が起きてる寝てるに関わらず、耳の穴をベロベロ舐めてきた。


胸も揉みしだいてきた。


「ねぇ、起きて?起きないと犯すよ?」

なんて言われたけれど、ここで『起きてるよーん!』なんて出来るわけもなく、今起きたことにした。


「寝ぼけた姿もいいね」みたいなことを言いながら下半身を触ってきた。


やっぱり濡れる時は濡れる。


キスや腕枕、見つめ合うこと、向かい合って眠ることは嫌でも、局部を触られることはそんなに嫌じゃなかったし気持ちよかった。


すっごく不思議。


で、もうさっさとイッてお風呂入って帰りたかったから、自分からおねだりした。


「入れてあげるから、彼氏と別れてよ」

(ん・・・?彼氏?)

そういえば彼氏いる設定にしていたんだった。


割り切った関係が良かったから彼氏いる設定にしてたことを忘れてた。


たぶんすっごく唖然とした表情してたと思う。


暗黒系は何を勘違いしたのか、「ごめん」と言って抱き締めて入れてきた。


ついでに暗黒系の汗が目に入ったらしくすっごく痛かった。


顔にぴしゃぴしゃと汗が当たった。


顔を背けると暗黒系が直すから目を瞑った。


終わってすぐ暗黒系はタバコ吸ってた。


吐く時、すっごくうるさいの。


「ふーっ」って。


なんだか中学生みたいだなって思った。


なんでこんなやつとヤッちゃったんだろ?って思った。


そんなことを思いながらお風呂入ることにした。


暗黒系にかばんやスマホ覗かれるかもって思うとゆっくり入れなかった。


普通そんなことしないよね。


さっさと出た。


暗黒系、まだタバコ吸ってた。


というより私のお風呂が早かった。


さっさと着替えて化粧して髪の毛乾かした。


暗黒系の服はやっぱりダサかった。


まじまじと見ると意味不明だった。


なんとなく歯を磨いた。


ホテル入って、何度も歯を磨いたせいで歯ブラシが開き気味になっていた。


歯磨き粉はもうほとんどなかった。


朝だけでも4回は磨いた。


ホテルの個室出ようとした時に、暗黒系にキスされそうになった。


「化粧と髪が崩れるから」と拒否したけれどされた。


唇が触れるだけだった。


むしろそっちのが嫌なんだけどね。


エレベーターの中でも手繋ぎたがったり、キスされそうになった。


もう拒否してもよかったけれど、ホテルから駅まで歩ける距離じゃなかったから手繋いでキスした。


暗黒系は昨日巻いてなかったストールを巻きだした。


よくわからないけれど彼なりのオシャレなんだと思う。


とりあえずそこは反応しなかった。


車に乗ると、やっぱりマニュアルのくせに手繋ぎたがった。


ここは大人しく手繋いだけれど、顔は歩道をずっと見ていた。


暗黒系が急に深刻な声で、「俺さ、実はさ・・・」とか言い出した。


どうせ下らない話だろうなと思っていたら、「運転中に舐めてもらうの、めっちゃ好きなんだよね」って言われた。


現実に居たんだね、こんなやつ。


正直引いた。


とりあえず信号青に変わったから進むように言った。


よく男性が『賢者タイム』とか言うあれかな。


終わった後、なんでこんなやつと・・・っていう感情。


たぶんそれに近いというか、まさにそれ。


でも暗黒系はご機嫌で、なぜか二人の夏の予定を立て始めた。


BBQ(二人で)、海、富士急、台湾・・・。


どれも魅力を感じない。


というよりこいつに魅力感じない。


そうこうしていると駅に着いた。


よりによって、すっごい人が多いところで降ろしてくれた。


「じゃあまたね」と社交辞令だけ言って車降りた。


一度も振り返らずにエレベーターまで歩いた。


エレベーターに乗ると、ちょうど正面に暗黒系の車が見えた。


手を振っているように見えたけれど返さなかった。


暗黒系はすぐに振るのをやめた。


帰って充電して電源つけた瞬間、機内モードにして無料電話のアプリを消した。


これでもう向こうから連絡来ないと思った。


今度はバーかクラブかなぁなんて思いながら2日が過ぎた。


無料電話アプリを再インストールすると以前のアカウントのままだった。


アプリを消しただけだとデータは消えないんだね。


メッセージが2通きてた。


『腰痛いw眠いw』みたいなのが当日。


なんでもない日常会話がもう1通。


あー、こいつ消したの気付いてないのかと思うと、どうでもよくなった。


(最初から割りとどうでもいいが)

メッセージはそのまま返信せずに退会した。


ちなみに、女でもみんな性欲はあると思います。


私は強い方だと思うので他の女がここまでではないとは思いますが、やりたくて仕方ない日ってのは絶対あると思います。
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