kimamamh5190490
未亡人となった元カノとの体験談


ある日、元カノにバッタリ会った。

時間があったので、お互いの身の上を話していると

彼女が未亡人になっていたことが判明。

平凡だったオレの身に突然起こった嵐の出来事をつらつらと書くんで

ヒマだったら付き合ってw

まず、スペック


サンプル
オレ=30代後半、妻子持ち、愛人ナシ

普通のリーマン、年収は並だと思うが可処分所得は低いw

夫婦仲は悪くないが、ラブラブでもない。

元カノ=同い年、昔はポッチャリ型で巨乳の持ち主だったが今は少しやつれた感がする。

旦那は最近病気で亡くなったらしい。高校生の娘が居る。

misonoに似ていないこともないので、今後ミソノと呼ぶ。

彼女に再会したのは秋風吹く土曜の午後、某ショッピングモール内にある施設でのこと。

小学生の末っ子を習い事に連れて行った時のことである。

受付で名前を記入した末っ子を見送りながら、受付の女性になんとなく見覚えがあるような気がした。

同時に、相手もそんな感じでオレを見ていた

・・・そして・・・物語はこの一言から始まったのである。

女性「オレさんって・・・○○市に住んでました?」末っ子の苗字を見ながら女性がなんとなく言った。

オレ「えっ?・・・高校までは、そこに住んでましたけど?」オレはあまり考えずにそう答えた。

女性「やっぱり・・・私、ミソノです・・・」一瞬の間というか躊躇いの後、女性は言った。

オレ「はぁ?!」

オレの頭の中は突然のカミングアウトに混乱していた・・・というか

まず“ミソノ”という名前が誰なのか瞬時に理解できなかったのである。

女性「高校2年生の頃かしらね、ふふっ」手を口にあてながら小首を傾げて少女のように笑う

オレ「あっ!」その仕草で全てが蘇ってきた。

学園祭の準備を機に仲良くなった二人。

CDとか貸し借りしたっけ・・・

で、貸したCDが戻ってくる時には折り畳んだ小さな手紙が添えてあり

他愛もない内容だけどそれが嬉しかったり・・・

オレは塾、彼女はバイトの帰りに待ち合わせてハンバーガーとか食べたよな・・・

そういえば、初詣にも行ったな・・・ふたりで願をかけたような気もする・・・

で、結局なんで別れたんだろう?

そこまで思い出して我に返った。その間、何秒だったろうw

オレ「ひ、久しぶりですね」敬語だ。動揺は隠せないw

ミソノ「そうですね」30代後半とは思えない美しい笑顔だ

ミソノ「私、これから休憩に入るんですけど、お茶でもどうですか?」

オレ「い、いいですよ。どうせ末っ子を待たなきゃいけないですから」

というわけで、二人でモール内の喫茶店へ出かけた。

空白の時間を埋めるように、お互いこれまであったことを話した。

大学はどこに行ったかとか(彼女は高校卒で働いたらしいが)

仕事は何をしてるかとか。

お互い結婚して子供がいることとか。

その時にミソノがご主人を亡くしていることも聞いた。

オレは何て言っていいのか分からず、ただ「そう・・・」としか言えなかった。

そして、ミソノの次の質問がオレを一気に過去へ引き戻した。

ミソノ「オレくん、あの時どうして来てくれなかったの?」少し悲しそうに笑う

オレは“あの時”が、どの時を指しているのかすぐに分かった。

別れが決定的となった日のことだ。

英語で言うなら「ポイントofノーリターン」だw

オレの記憶では“あの時”の経緯はこうである。

“あの時”の約1ヶ月前

オレとミソノは、ほぼ毎日一緒に帰っていた。

いつものように自転車を押して校門の前で待っていると、ミソノの友達がやってきた。

友達「オレくんごめん。今日はミソノは来れないの」

オレ「そう」

友達「これ、ミソノから預かってるから。じゃね」と小さく折られた手紙を受け取る。

オレは、何か用事でもできたんだろーくらいに考えて、おそらく「ごめんね」と

書かれてあるだろう手紙を開けた。

内容は確かに“ごめんね”であることは間違いなかったが・・・重さが違った・・・

で、

細部までは覚えていないのだが、要約すると

「あなたとの関係は、友達以上だけど恋人ではない」

「例えると家族みたい」

「なくてはならないけど、特別な存在ではない」

「例えると空気みたい」

のような事が書かれており、最後に

「ごめんね」

で締めくくられていた。

というわけで、オレは見事に振られた・・・全オレが号泣した。

結局、ミソノとは半年くらい付き合ったことになる。

何度かデートもしたが手をつないで軽くキスをしたくらいで、それ以上はなかった。

(今思えば惜しいことをしたもんだwなにしろ、あの巨・・・いや、なんでもない)

前置き長くて、すいません。

さておき“ごめんね”の手紙から約2週間後の“あの時”のことである。

オレは、ミソノの女友達から呼び出された。

なんでもオレを振った後、ミソノが落ち込んでいるらしい。

意味が分からなかった。

友達A「ミソノは不安だったのよ」

友達B「だからアンタを・・・そう、ちょと試そうとしただけだったのに」

オレ「はぁ~?なんだそれ」

友達C「あの娘、すごく後悔してて・・・オレくんに謝りたいんだって」

オレ「・・・」

友達A「今日の放課後、旧館3階で待ってるからって」

友達B「絶対、行ってあげてねっ!絶対だよっ!」

オレ「・・・」

今の俺ならホイホイと待ち合わせ場所に行っただろうけど、どうやら当時のオレには

プライドがあったらしいw

なんだか自分を試されたことに腹が立って、しかも友達経由の言い訳である。

おまけに振られたオレを女4人でネタにしてるらしいことが許せなかった・・・

今なら全然許せるのであるがw

そうして、オレは待ち合わせ場所には行かなかった。

オレ「あの時か・・・なんでかなあ」

ミソノ「私、悲しかったんだよ」

オレ「は?」ちょっと不機嫌なトーンになる

ミソノ「ごめん。そうよね、私が悪いんだもんね」オレの声のトーンに驚いたのかすぐに謝る。

この会話の流れで当時のオレの気持ちを悟ったのか、ミソノはもうこの話をしなくなった。

それからミソノとの“土曜の会”(便宜上、そう呼ぶ)は定例となった。

たまに末っ子のクラスが休みになったり、ミソノのシフトが違ったりで会えないことや

休憩時間がズレたりすることはあったが、月のうち半分以上は会を開催していた。

俺としては別にヨリを戻すとか全く考えてなかったし、末っ子待ちの時間つぶしくらいに考えていた。

彼女もそう考えていたと思う。

ところが、そうは考えていない人物が居たのである。色んな意味で。

ミソノの高校生の娘だ。

彼女は、父が亡くなって間がない母が父以外の男性と喫茶店で談笑しているのを

偶然目撃したらしい。

そして、その関係を母に問い詰めたとのこと。

ミソノ「オレくん、ちょっとマズイことになっちゃって・・・」

オレ「何かあったの?」

ミソノ「その・・・オレくんと毎週こうしてるところを娘に見られたようで・・・」

オレ「別にやましいところはナイでしょ」

ミソノ「そうなんだけど・・・娘がオレくんに会わせろって聞かないの・・・」

オレ「別にいいよ。20年前の元カレですって挨拶しようかな?w」(冗談で言ったつもり)

ミソノ「えっ?!いいの!」

というが早いか、ミソノは喫茶店の端の席にいた女子高生に目配せをする。

するとその女子高生が、こちらにやってきた。

ミソノ「私の娘、小ミソノなの。高校2年生よ」

オレ「えっ?えっ?あっ、こんにちは、オレです」

正直、俺は狼狽した。

なぜなら、小ミソノが俺の記憶の中にある高2のミソノ本人と瓜二つだったからである。

髪型からカチューシャまで、そっくりなのだ。

っていうか、そのカチューシャ見覚えがあるんですけどww

小ミソノ「こっ、こんにちは。いつも母がお世話になってます」とペコリと頭を下げる。

オレ「お世話なんてとんでもない」

オレ「末っ子が教室に通ってて、その待ち時間に付き合ってもらっているんですよ」

小ミソノ「・・・最近、母が少し元気になったんで、私嬉しいんです」

小ミソノ「知ってると思いますけど、お父さんがあんなことになってから・・・」

オレ「・・・」さすがに反応ができない

ミソノ「小ミソノ、やめなさい。ごめんね、オレくん」

オレ「いいんですよ・・・それより、小ミソノちゃんって可愛いですね」

オレ「学校でもモテモテじゃないのかな?」

オレは雰囲気を変えようとバカな話を振ってみた。

小ミソノ「やだぁ~、オレさんったら~」少し目が潤んでいるようにも思える。

ミソノ「小ミソノちゃん、どうなのぉ~」同様だ。

そんな感じで、なんか言いようのない重さを引きずりながらも

とりあえず表向きの雰囲気は戻ったようだ。

それからの“土曜の会”はミソノだけでなく、小ミソノも同席することになった。

小ミソノの試験の結果を話したり、進路の相談を受けたり、時には恋バナとかもあってなんだか以前よりも楽しかった。

オレは小ミソノと会話していると、まるで自分が高校時代に戻ったような気がして、

なんだかミソノとの甘酸っぱい思い出が蘇るというか、過去をリプレイしているような気持ちになっていたのだ。

この時のオレの感覚だけど、ミソノとはもう完全に終わっていることは理解していたし、

これから、どうにかなるものではないとお互い思っていたと思う。当たり前だ。

ミソノはご主人を亡くして心細かったところに都合よくオレが現れた上に、娘の相談相手に

なってる現状を少しの間だけ続けたいとか思っていたのではないかと。

ところが、小ミソノは何か違った。

なんというか・・・子悪魔的にオレを篭絡するような雰囲気だったのだ。

俺は、小ミソノが母ミソノとオレをくっつけようとしていると、その時は思っていた。

例のカチューシャも、どうやら昔の俺がミソノにプレゼントした実物みたいだ。

よく、そんなモノが残っていたと感心すると同時に、知ってか知らずかソレをオレと

初めて会う時に着けてくるあたりが怖かったりする。

女の勘ってのは鋭い。

俺としては、今の家庭を壊す気は全くないし、ミソノ一家を受け入れる度量も資力もナイのが

正直なところであった。

それに、“土曜の会”は永遠に続くわけではない。

どんなに長くても、数ヶ月後の3月には末っ子がその教室を卒業することになるからだ。

となると、携帯番号もメールも交換していない俺と彼女の関係はそこで終わる。

まあ、彼女側はその気になれば生徒名簿から俺の住所も連絡先も調べることが可能ではあるわけだが。

う~ん・・・

それから、しばらく経った頃

いつもの平穏な日常があった。

変わり映えのしない毎日。家と職場の往復。

“土曜の会”の存在は少しだけ非日常の空気があり、俺は楽しみだった。

でも、家庭を裏切るようなことはしていないし、やましいことは何もない。

俺はそんなふうに考えていた。

そんなある日。

オレは会社で某テーマパークのペア優待チケットをもらった。

帰宅後、ヨメにチケットの話をした。

オレ「今日、会社でこんなモノをもらったよ」

ヨメ「へぇ~、優待券なのね。でも行けないわよ」

オレ「なんで?それくらいのお金ならなんとかなるよ」

ヨメ「お金じゃないの。上の子はどうするのよ。あの子は絶対来ないわよ」

(上の子は絶賛反抗期中なのである)

オレ「そうだよなぁ~」

ヨメ「残念だけど、誰かにあげたら~」

というと、いかにも興味がない様子で台所へ消えていった。

まあ、これが現実なんだろうが・・・なんだか味気ないな・・・

で、土曜日。

いつものように末っ子を教室に預けると、いつもの喫茶店でミソノと小ミソノが待っていた。

オレは早速チケットを取り出すと

オレ「こんなの貰ったんだよ」

ミソノ「へぇ~、優待券なんだ~」

小ミソノ「えっ、スゴイじゃん!あたしここに行きたかったんだっ!」

小ミソノ「ねぇねぇ、一緒に行こーよっ!」となぜかオレを見る

オレ「ちょうど2枚だし、お母さんと二人で行っておいでよ」

ミソノ「そうね。小ミソノちゃん、休みを取るから一緒に行きましょう!」

小ミソノ「うん・・・」

一瞬、小ミソノが不機嫌な顔をしたような気がしたが、すぐに笑顔になったので

オレは気にしないことにした。ところが翌週の土曜日・・・

“土曜の会”の時だ。

いつもの通りだと思っていたら、小ミソノが居ない。

ミソノ「困ったことになっちゃって・・・」

オレ「何が?」

ミソノ「来週の水曜に小ミソノと例のテーマパークに出かけることになっていたの」

オレ「ふーん、平日じゃん」

ミソノ「小ミソノは試験明けで休み。私もシフトが休みのハズだったんだけど・・・」

オレ「ダメになったと?」

ミソノ「そうなの・・・そしたら小ミソノが怒っちゃって」

オレ「ふーん・・・あっ、来週の水曜って言った?」

ミソノ「そうだけど?」

オレ「その日、オレちょうどそっち方面に出張なんだよ。夕方からでよかったら付き合うよ」

ミソノ「ホント?ありがとう。早速、小ミソノに伝えてみる」

というわけで、オレと小ミソノは夕方4時半にテーマパーク前で待ち合わせることになった。

この時、初めてオレはミソノと小ミソノの携帯番号とメールアドレスを聞いた。

ちなみに自分の携帯への登録は取引先っぽい会社名にしてある。

ミソノのアドレスはさておき、小ミソノのそれは女子高生らしい可愛いメールアドレスで

社用として登録するには、かなり厳しいモノではあったのだがw

小ミソノは真っ赤なコート+例のカチューシャ姿でオレを待っていた。うっ、可愛い過ぎるw

オレはビジネスコート+ネクタイ+資料の詰まった重い革カバンという姿だったので

どう見ても、何かの記念日を祝う会社帰りの父と娘だな、とか思いながらテーマパークを廻った。

彼女はハイテンションで、はしゃぎまくっていたし、オレも自分の年齢を忘れて楽しんだのだが

そろそろ地元に帰る最終電車の時刻が近づいてきた。

オレ「そろそろ帰ろうか」

小ミソノ「・・・やだ・・・」それまでの笑顔が消えて急に背中を見せる

オレ「でも、最終に間に合わなくなる」

小ミソノ「・・・今日は帰らない・・・」

オレ「へ?」オレは事情が飲み込めない。彼女は何を言ってるんだ??

小ミソノ「・・・ずっと一緒にいて・・・」

と言うと同時に目を潤ませた彼女がオレの胸に飛び込んできた。

正直に言おう、目を潤ませた女性が胸に飛び込んでくるなんてのは

実は初めての経験なのであるw

ミソノだけでなくヨメとの関係でも、こんな胸がキュンとなるようなシーンは

なかったのだww

頭の中では、全オレが緊急集合して安全保障理事会を開催した。

パニックの中、会議が提案した選択肢は2つだ。

A(彼女を強く抱きしめる)

B(ここは大人の対応。彼女を諭す)

会議は紛糾している。

漢なら迷わずA。今夜はホテル泊だ。

しかし、元カノの娘だぞ。しかも現役高校生だ。

それは立派な“犯罪”であるw

そうして隙を見せたオレに彼女からの第二波攻撃が炸裂した。

直撃弾が急所にヒットする。

“目を閉じたままオレを見上げる”攻撃だっ!

いくら女性経験の少ないオレでも分かる。いや、男なら本能的に分かるハズだ。

これはキスを求められているのだ。

頭の中でアラートが鳴り響く!

(メイデイ!メイデイ!緊急事態発生!もうダメです、墜落しますっ!)

次の瞬間、オレの頭の中は衝撃に耐え切れずブラックアウトしたw

致命傷を負って青息吐息の中、オレが選んだのは・・・

Bだった。

オレ「小ミソノちゃん・・・帰ろう」

余計なことを言うと拗れると思ったオレは極めてシンプルに言った。

感情的になった女性に理詰めで話をして勝てたためしがなかったからだ。

しばらくの沈黙の後・・・

小ミソノ「・・・わかった・・・でも・・・ちゃんと帰るから・・・キスして欲しい・・・」

弱々しく涙ながらに絞り出すような声だったが、オレはもう迷うことはなかった。

目を閉じた彼女のおでこに軽くキスをした。

結論から言うと、オレは第二波攻撃のダメージで逆に正気に戻った気がする。

あまりにもダメージが大きすぎて、限界を突き抜けてしまったのだ。

もし、アレがなければ彼女を黙って抱きしめていたかもしれない。

帰りの電車の中では、彼女はオレに寄りかかって、ずっと眠っていた。

ただ、オレは時折彼女の頬を伝うモノを黙って拭いてやらなければならなかったが・・・

タクシーで彼女を家まで送り届けると、母であるミソノが玄関で待っていた。

フラフラと戻る娘を無言で迎えると、オレに深々と礼をして玄関の中へ消えていった。

次の土曜日も、その次の土曜日も、ミソノの姿も小ミソノの姿もなかった。

オレは末っ子の待ち時間を独り、いつもの喫茶店で過ごした。

明日というか、朝から普通に出勤なんで、今日はこの辺で。

また夜に続きを書きますんで、すいません。

こんばんは。

今日は、少し早く帰って来れました。

どなたか、おられます?

では、続きです。

聞いてやってください。

テーマパークの一件から3週間が過ぎた土曜日のこと。

今日もミソノは居ないんだろうかとか考えながら末っ子を教室に連れて行った。

思えば、もう3月も近い。そうなれば俺はもうここに来る理由がなくなるのだ。

オレ(あれは何だったんだろう・・・)

オレ(選択肢は正しかったのか?いや、間違いではないだろう)

オレ(というか、もし泊まっていたら・・・)

オレ(いやいや、四十前の大人が女子高校生に魅了されて外道とかありえんしw)

オレ(でも正直、可愛かったよなぁ・・・)

などと小ミソノが飛び込んできたシーンを反芻しながら教室に向かう。

受付にはミソノがいた。

ミソノ「こんにちは、オレくん、末っ子ちゃん」

オレ「こんにちは、久しぶりだね」

ミソノ「なんかシフトがズレちゃって。ふふっ」来たっ!悩殺ポーズだw

オレ「休憩は何時から?」若干、動揺するも普通を装いながら言う

ミソノ「ちょうど今からよ」

オレ「じゃ、行こうか」

ミソノ「はい」

というわけで、久しぶりに“土曜の会”成立である。

オレとしては、テーマパークの一件は是非とも避けたい話題だったのであるが・・・

ミソノ「この間はごめんなさいね。小ミソノが失礼なことしちゃったみたいで」

って、オイオイ、いきなりこの話題かよ

オレ「あぁ、気にしないで下さい。彼女、ちょっと周りの雰囲気に飲まれちゃっただけでしょうし」

オレ「カップルがいっぱいでしたからね、ハハハ」努めて明るく振舞う

ミソノ「・・・それが、そうでもないんです・・・」

オレ「えっ?」

以下、ミソノの説明を簡単にまとめると

・当初、小ミソノは母ミソノとオレをくっつけようとしていた

・キーとなる日には“例のカチューシャ”をしてオレを過去に引き戻そうと企んでいた

・そのためにミソノの卒業アルバムを見て、なんと同じ髪型に変えていた

・カチューシャについては、母ミソノが大事にしていたのでピンときたらしい

・その後、母ミソノにその気がないことを知ったが、オレとは離れたくなかった

・そこで自分がオレと、くっつこうとした

そして

・やっぱり、父親がいなくなったのが寂しかったのだろう・・・

ということだ。

オレは自分を責めた。

いたいけな女子高校生の傷心を癒すどころか逆に深くエグっていたのだ

その必死な気持ちに何となく気づいていながら・・・

何もできないくせに・・・

いい人を装って・・・

結局は自分が過去の感傷、つまり・・・

姿形の似た小ミソノを使って、高二の自分の再現ドラマを楽しんでいただけだったのだ。

・・・オレは自分の最低さに吐き気がした・・・

オレ「・・・」

ミソノ「・・・」

オレはこの後、どうすればいいのか分からなかった。

たぶんミソノも同じ思いだったのであろう。

オレ「・・・オレ達って、もう会わない方がいいのかな・・・」

ミソノ「そうかもね・・・」

ミソノ「・・・でも、最後にひとつだけ私のお願いを聞いてくれる?」

なんとなく、怖かったのであるが・・・

オレ「いいよ。なんでも言ってよ」

と、カッコつけて言ってみた。

というか、この母子に許してもらえるなら、本当に何でもしようと思ったのも事実である。

ミソノ「家に来て欲しいの・・・一度だけ・・・」

オレ「えっ?!」

ミソノ「変な意味じゃないの。あの家は悲し過ぎるから・・・」

ミソノ「最後に楽しい思い出で終わりたいの」

オレ「どういうこと?」

ミソノ「家を手放すことにしたの。二人で暮らすには広すぎるから」

テーマーパークの帰りに小ミソノを送っていった時に見たのだが

確かに立派な一戸建てだった。庭が荒れた雰囲気だったのは男手がないからだろう。

それに、あちこちにご主人の思い出が詰まってるんだろうし。

ミソノ「それでね、最後にパーティでもして終わりにしようと思ったんだけど・・・」

ミソノ「小ミソノと二人だと泣いちゃって辛い思い出になりそうで・・・」

オレ「そういうことなら喜んで。なんなら仮装でもしちゃいますよw」

ミソノ「それ、いいかもっ!ふふっ」

というわけで、鍋パーティ@ミソノ邸が決まった。

ミソノ邸の売却が決まり、引越し準備の整った家に俺は居た。

ただでさえ引越し前夜というのは感傷的になるものだが、ミソノ母子にとっては

万感の思いがあっただろう。

暗い雰囲気を打ち消すように、努めて明るく振舞っていたように見えた。

ミソノ「オレくん、小ミソノちゃん、お待ちどうさま。ミソノ家特製のスペシャル鍋ですよ~」

小ミソノ「うわっ、まるっとカニが入ってるしっ!こんなの初めてじゃん!w」

ミソノ「めっ!本当のことを言ってはいけませんっ!ふふっ」

オレ「おっ、豪勢だなぁ~」

ミソノ「では、召し上がれ」

オレたち三人は、きゃっきゃっ言いながら鍋を囲んだ。

ミソノもオレもアルコールが入ったせいで、テンションが上がって楽しかった。

食後はトランプをしたり、カラオケもどきで楽しんだり、大いに盛り上がった。

オレは、この家最後の夜をミソノの願い通り楽しいものにできて満足だった。

そして・・・

いつの間にか深夜になり、小ミソノは自分の部屋に戻った。

ミソノとオレは二人きりで居間のコタツに入りお茶をすすっていた。

ミソノ「なんだか不思議な気分・・・」

オレ「そうだな」

ミソノ「あの人には悪いけど、ずっと前からオレくんと一緒に居たみたい」

オレ「そんなこと言うもんじゃないよ」

ミソノ「そうね・・・あの人のおかげで小ミソノが居るんだし・・・」

ミソノ「今の私にとっては、小ミソノだけが生きがい・・・グスッ」

オレ「そうだよ。大事にしてあげなきゃ」

オレ「困ったことがあったら何でも言ってよ。できる限りのことはするから」

ミソノ「オレくんって優しいのね・・・」

・・・テレビが既に梱包されていたせいもあり、居間は音もなく静かであった・・・

ミソノ「オレくん・・・そっちに行ってもいい?」

向かい側にいたミソノが、躊躇いながら小声で呟くように言った。

オレ「・・・」

オレの返事を待たずにミソノが左横に座る。

そういえば、付き合ってる頃はいつも左側にいたっけ・・・

何も言わず、オレにもたれかかるミソノ・・・

彼女に絡めとられた左腕の自由が利かない・・・

ここでオレの脳内では、再び緊急安全保障理事会が招集された。

しかし、相手は同い年、かつ分別のある大人、しかも元カノということで

前回よりは危機レベルが相当低く設定されたしまったようであるw

そして、今回提案された選択肢は・・・

満場一致、オールグリーンの進路クリアで“全軍全速前進!”の一択であったw

こうなると、もう止まらない。

どちらからともなく近づいて、唇を重ねた。

オレは20年前に果たせなかった思いを込めて燃え上がった。全身が熱くなる。

そしてオレは彼女を寝室までいわゆる“お姫様だっこ”で連れて行く。

彼女はこんなに華奢だったのか?とその軽さに驚きながらもベッドに降ろす。

その瞬間、彼女の何かが弾けた感じがして瞳が突然潤みだす。

彼女が急に積極的になりオレの首に腕を絡めて強く引き寄せる。

オレは彼女の反応に若干驚きながらも、さらに気合いを入れたのだが・・・

オレは彼女の焦点が、オレには合っていないことに気づいた。

涙に濡れた瞳は確かにオレを見つめているのだが、オレを見ているわけではない。

オレは、戸惑った。

彼女が急に遠ざかる気がした。

確かに彼女はオレの腕の中にいる。

いや逆だ、彼女がオレに抱きついているのだが

心はどこか違うところにあったのだ。

そして、次の瞬間・・・

彼女は号泣し始めた。

激しい嗚咽を漏らしながらオレに激しくしがみついたまま

オレの知らない男性の名を何度も何度も叫んだのだ。

それが、この寝室の主であろうことは想像に難くない・・・

オレは、ただ呆然と彼女を見つめていた。

別に腹が立ったわけではない。悲しかったわけでもない。

惜しかったなんて、とんでもない。

うまく言葉にできないが、愛する人を失った女性の辛い心の中を

素手で触ってしまったような切ない、やるせない気分だったのだ。

やがて彼女の腕から力が抜けてオレからするするっと外れた。

残念ながら、この状態から一仕事できるほど、オレは太い神経の持ち主じゃない。

いや、10代の頃ならこんな状況でもマグロ状態の女を抱けたかもしれない。

でも、もうすぐ40だもんな。

亡くなった人の名を叫んで号泣する女性を、どうにかするなんて悪趣味なことはできんわな。

オレは、ただ彼女に寄り添い、ずっとその髪を撫でるしかなかったのだ。

そして、朝が来た。

引越しのトラックがやって来て、オレは普通にそれを手伝ったわけだが

作業員に『ご主人』と呼ばれた時には、かなり慌てた。

なぜなら、傍にいたミソノがピクッと反応したような気がしたからだ。

ミソノはエプロン姿で忙しそうにしていた。昨夜のことは何も言わない。

小ミソノは、相変わらずオレに纏わりついていたが、それは無邪気な仔犬のようであり

以前の小悪魔的な雰囲気を感じることはなかった。

おそらく、母ミソノが亡き父を呼ぶ悲しい叫び声は彼女にも聞こえていただろうから。

大きな家にもかかわらず荷物は少なく、作業は午前中で終わった。

ミソノ「オレくん、色々とありがとうね。ふふっ」

小ミソノ「オレさん、落ち着いたらまた連絡するねっ!」

オレ「おおぅ!じゃまた」

ミソノ、小ミソノ「じゃね~!!」

何事もなかったかのような明るい笑顔を残してミソノと小ミソノは

引越しのトラックに同乗していった。どうやら、最寄駅までは乗せてもらえるらしい。

オレは、それに乗ることはなく二人とトラックを見送りながら

そういえば、引越し先って聞いてないのな・・・と考えていた。

そして土曜日・・・ミソノは受付に居なかった。

なんとなく覚悟はしていたが、きちんと別れを告げたかった。

正直に言うと未練がなかったわけではない。

でも、それは是が非でも食ってやろうとか、そういう感じではなく

なんだか母子が心配だったような、本当に何かできることはないのだろうかとか・・・

いや、理屈では分かってるんだ。オレには何もできないことくらい・・・

でも、ホントに何もできなかったんだよねぇ・・・

結局、最後の夜も悲しい思い出をつくっちまっただけだし。

オレは、携帯を取り出してみた・・・ミソノに掛けてみる

・・・『お掛けになった電話番号は現在使われておりません』

小ミソノの番号も、同じであった。

受付の女性に「ミソノさんは、どうされたんですか?」と聞いてみた。

女性「ミソノさん?私、今週入ったばかりなので古い人のことは分からないんです」

オレ「そうですか・・・」

オレは、いつもの喫茶店で独り放心状態だった。

20年前の半年間と、ついさっきまでの半年間が頭の中で絡み合っている・・・

高二のミソノと現在の小ミソノの姿が被ってしまい、現在と過去、夢と現実が混乱している。

つい先日まで、向かいの席に美しい母子が微笑みながら座っていたのが現実のことだったのか

どうかすら定かでなくなってきた。

ひょっとしたら、オレは毎週この時間にココで、うたた寝をして夢を見ていただけなのかもしれない

そんなことを考えていると・・・

そこへ、教室のマネージャーらしき男性が走ってきた。

男性「オレさんですよね?これミソノさんから預かってます。彼女は昨日辞めたんですよ」

男性「彼女、急に転居が決まったようで、オレさんによろしくお伝え下さいとのことでした」

と言うと1枚のCDを差し出した。

男性「ちゃんとお渡しできてよかったです。末っ子ちゃんは来週で終わりでしたよね?」

オレ「そうでしたね。来週で卒業でしたね。ありがとうございました」

その言葉を聞くと、男性は教室に戻っていった。

オレの手にあるのは、何の変哲もない普通の音楽CDであったが・・・

オレは「ハッ」とした。

まさかと思って中を開けると、小さく折られた手紙が入っていた。

急いで開けると・・・そこには、見覚えのある文字・・・

「あなたとの関係は、友達以上だけど恋人ではない」

「例えると家族みたい」

「なくてはならないけど、特別な存在ではない」

「例えると空気みたい」

という内容が書かれてあり、最後に

「ありがとう」

で締めくくられていた。
サンプル