kimamamh0412000229
復讐の中に、障害者に対する酷い行為が含まれていますので嫌いな方はスルーしてください

中学に入ったばかりの時に仲良くなった同級生A子は、身体障害者だった。


障害といっても軽いもので、歩く時に少し足を引きずったり、喋る時にわずかに声が震える程度。


頭の良い、優しい子だった。


ところが、クラスの女王様気取りのB子とその腰ぎんちゃくC子が、A子をターゲットにして陰湿な虐めを始めた。



A子の歩き方や喋り方を真似してゲラゲラ笑ったり、A子が話してると馬鹿にしたり、虐めの内容はとても幼稚なものだったが、とにかく1日中ネチネチ絡んでる。


見かねて、いい加減にしなよと止めたら、私の事も虐めてくるようになった。


私の容姿や、ちょっとした癖などを嘲笑ったり、聞こえるように悪口を言ってくる。


身体的な危害を加えられるわけじゃないし、スルーしておけばいいやと思ったけど、多感な◯学生にとっては、こんな幼稚な苛めでも毎日やられると結構精神的に堪える。


それを見ていた他の人たちも、A子をかばうと自分まで虐められると思ったらしく、A子から離れたり、便乗して虐めたりするんで、A子の周りには私を始め、ごく数人の友人しか寄りつかなくなった。


うちの学校は中学からの少人数一貫教育で、結局この陰湿で幼稚な虐めは高校卒業までずっと続いた。


B,Cにとってはほんの気晴らし程度だったんだろうけど、障害の事を執拗に嘲笑われ続けたA子は、本当に辛かったと思う。


でもA子は学校を休まなかった。

というか、休めなかった。


A子のご両親がとても厳しくて

「ハンディを持って生きる以上、強くならないといけない」

と言って、学校を休む事を許してくれなかったらしい。


そんな6年間を経てやっと高校卒業。

私もA子も持ち上がりではない別の大学に進学が決まり、馬鹿と離れられるので清々すると喜んでいた矢先、A子が急な病で亡くなった。


危篤に陥る前に会えたんだが、

「私の人生、何だったんだろう」

とうつろな目で言うA子に言葉が出なかった。


そして葬儀の時、A子のご家族が修羅場になっていたのが哀しかった。


それから十数年経った今年の春。

電車の中で、どこかで見覚えがあるような、ないようなオバサンを見かけた。


ん? と思ってよく見たら、B子だった。


しかし、十代の頃の派手目な容姿とは別人のようなやつれぶり、老けっぷりだった。


髪の毛は白髪ボサボサ、顔はしわしわ、疲れ果てた感じ。


そして、見た目でも体に障害があると分る女の子を連れていた。


思わず

「B子?」

と呼びかけたら、私に気付いたB子がやけに慣れ慣れしく

「あ、久しぶり〜」

とか言って寄って来た。


連れている女の子について聞くと、娘だと言う。


…そのあとの、自分の行為が、正直自分自身よく分らない。


私はいきなり、

「え〜!B子の子供って、障害者なんだー!」

と大きい声で言ってしまった。


凍りつくB子親子、そして当の私も、自分の言った言葉に吃驚。


周りからも冷たい視線を浴びて焦った私が言い訳しようとして言ったのが

「い、いや、だって、B子って長年障害者虐めてたからさー。

自分の子が障害者だったら殺すとか言ってたじゃん。

でも、実際はそんな事しないんだなーって感心して」

いったい自分は何を言ってるんだ?と焦ったが、言葉が全然止まらず、勝手に口から出てくる。


「A子が、死ぬ前に言ってたんだよね。

私の人生を滅茶苦茶にしたB子を絶対許さない。

呪ってやるって(実際はそんな事言ってない)やっぱり呪いってあるのかな。

でも、理不尽だよね、B子のやった事で娘さんが苦労するの。

娘さんの学校に、あんたみたいな同級生がいないといいね」

顔面蒼白なB子、泣き出した娘さん、やけに周りに集まってる他乗客、そんな事言うもんじゃないわよと説教しだす見ず知らずの中年女性、なんかもう、どうにも居たたまれなくなって、次の駅に着いた途端に逃げるように電車を降りてしまった。