kimamamh090900168


魔界、そこは弱肉強食の原理に支配された混沌の世界。

いかなる行為も力の前には許され、いかなる倫理も力の前には屈服する。


 その原理に、とある少女が晒されていた。


 少女は下級の悪魔だった。

かろうじて信頼できる同属の群れで生き、やはり自分より弱いものを食い物にしてきた。


 その因果だろうか、彼女も現在、他の生き物に踏みにじられる立場にあった。

だがそれは捕食という形態よりはるかに醜悪で邪悪な形での蹂躙だった。




 少女は、苗床として使われていた。




 醜悪な姿をした獣が、少女の前にやってきた。

少女よりはるかに大きい体格は、かろうじて人型と呼べる手足が付いていた。


「あ、あああ…」

 魔獣の登場に、しかし少女は逃げなかった。


 両手が壁に埋め込まれていた。

少女が今いるのは、このモンスター――厳密にはこのモンスター達の群れが作った巣の一部だ。

巣は彼らが自分の分泌液を混ぜて固めた泥でできており、乾燥した泥は岩のように硬くなる。

少女の細腕では砕けない。


 だが…たとえ砕けたとしても、少女は逃げなかっただろう。


 モンスターの姿を見つけた少女は、自ら足を開き、秘所を晒しながら、蕩けるような笑顔を浮かべた。


「ああ…旦那様ぁ…お情けを…かけに来てくださったのですか?」






 少女は群からさらわれた。

モンスター達が彼女をさらった理由は、彼女に自分達の卵を産んでもらう母親になってもらうことだった。


 このモンスターはそれぞれ卵子と精子を別々に、異種族の子宮の中に流し込み、その母体に子供を生んでもらう種族だった。


 そして、この悪魔の少女は、その母親として選ばれた。


「あはっ…早くぅ…」

 腰を振り、目の前の魔獣を誘う少女。


 さらわれてきた当初は、彼女は必死に抵抗した。

だが、小柄な彼女では、魔獣たちに勝てるはずもなく、魔獣に組み敷かれ、醜悪な生命の元を流し込まれた。


 自分の胎内にあの憎むべき化け物の卵が宿ったと気づいたときは絶望した。

しかし生態系の底辺とはいえ彼女も悪魔。

舌を噛み切っても自殺できず、モンスターが持ってくる餌を強引に口に流し込まれ、無理やりに生かされた。


 そして、自分のまたぐらから拳ほどの大きさの卵が幾つもひりだされた時、少女の精神は壊れた。


「ああん、早くぅ…私を孕ませてぇ」

 壊れた少女は、逆にモンスターたちを求めだした。

この暗い穴倉での、唯一の快楽がこのモンスターとのまぐあいだったからだ。


 モンスターは誘われるように、少女に近づいてきた。




「いやぁん♪」

 前戯もなく、少女の腕ほどのペニスが突きこまれた。

少女は嬌声を上げてそれを受け入れた。


 少女の陰部は、すでにモンスターのそれに対応できるように変化していた。

悪魔の生命力の賜物だった。


「あん、あああん、すごいぃ…しゅごいぃん♪」

 よだれを撒き散らして快楽をむさぼる少女。

少女はモンスターの胴に足を絡める。

動き回るごとに腕が引っ張られて痛みを感じたが、壊れた精神はそれすら快楽として受け取る。


 そんな彼女の目は、モンスターの肩越しにもう一匹のモンスターの接近を捉えた。




「はぁっ!はあん!ちんぽぉ!もう一本、チンポぉっ!」

 少女がモンスターの股座の生殖器を見てよりいっそうの興奮をする。

それに誘われるようにモンスターは近づき、しかし少女に増える前に、壁に拳をたたきつけた。


 たった二発の殴打で、少女の動きを制限していた壁は砕け、少女は数ヶ月ぶりに両手が自由になる。


 逃走する機会。

だが少女は自由になった手を、自分を冒しているモンスターの首に回し、抱きついた。


「ひゃん!ああん、出してぇ!ザーメン!ビュクビュクしてぇ!」

 もはや少女に逃げ出すという選択肢はなかった。

生来悪魔に備わっている淫乱の因子が、苛烈なまでのモンスターの責めにより、目覚めていたのだ。

それに少女の中にある悪魔としての本能がささやいている。


 ココニイレバ、エサニコマラナイ。

テキカラモマモッテモラエル。


 この『楽園』から逃げ出す必要を、壊れた心は感じられなかった。


「きて!きて!きてぇぇぇぇぇっ!」

 少女の言葉に応じてか、モンスターが射精を始めた。


 どぶ!どびゅる!

「ひゃぁぁぁぁんっ!」

 嬌声を上げて、少女はモンスターの精子(あるいは卵子に相当するものかもしれないが)を受け止めた。


 



「あ、あう…ぬ、抜いちゃいやぁ…」

 少女の哀願を聞かず、モンスターは肉棒を引き抜く。

そのとたん、呆れるだけの量の粘液が、少女の陰部からあふれ出した。


「も、もれちゃう!卵の元、もれちゃうぅ!ダメェ!孕めない!これじゃあ孕めないよぅ!」

 心から悲しげに言う少女だが、実のところ一滴でも子宮に残っていれば、妊娠には十分なのだ。

だが、少女はそれを知らず、涙すら流して哀願する。


「おチンチン!おチンチンンンンッ!挿れてよぉ!挿れてったらぁんっ!」

 ついには引き抜かれ肉棒を手にして、強引にでも自分に挿入しようとする少女。

しかしその前に、彼女の腰を後から、彼女の両手を開放したモンスターが掴んだ。


 驚いて振り向いた少女だったが、その意図に気づき、笑顔を作った。


「あなたが入れてくれるんですか?」

 言いながら、少女は自分の陰部に手をやり、広げて、穴を露出させる。


 それをみたモンスターの顔が、愉悦にゆがんだように少女は見えた。

そして、モンスターは、まだ前に入れたモンスターが吐き出した汚液が残る肉壷に、自分の肉棒を突入させた。


「ひぃん!」



「きゃん、いん、いいん!いいよぉ!すごいよぉ!いつもと違う!違うところが擦れるぅ!」

 後から犯され、悶える少女。


 実のところ、彼女は正常位以外の体位をとったことがなかった。

さらわれる前には性交の経験がなく、さらわれた後は壁に手を埋め込まれ、正常位以外の体制を取れなかったのだ。


 初めての体位により、今まであまり擦られていなかった部分を擦られ、少女はあっという間に追い詰められる。


「あああああああっ!イクゥッ!いくぅぅぅぅっっ!」

 言葉の通り、少女は膣を痙攣させ、絶頂を迎えた。

力を失う少女。

だが魔獣は少女の都合お構いなしに、次の行動に出た。


 少女の肩を掴むと、強引に仰向けにしたのだ。




「……ぁっ!かはぁぁっ!」

 肉壷の中を肉棒が半回転する感触は、逝ったばかりで敏感になっていた彼女の神経には、あまりにも大きな刺激だった。


 少女は痙攣しながら、さらに数回の絶頂を迎える。

だがモンスターにしてみればまだ、それは途中の段階に過ぎなかった。


 モンスターは、痙攣する少女の体を抱きしめると、そのまま立ち上がった。


「!ひぃやぁぁぁぁぁぁっ!」

 自重により、極限まで肉棒を埋め込まれる少女。

陵辱の限りを尽くされた彼女の肉体はその暴挙すら快感として受け取り手足の筋をビクつかせる。

少女は少しでも膣に掛かる圧力を軽減し、この破滅的な快楽から逃げようとモンスターに抱きついた。

だが、逆効果だった。


 少女の反応に気を良くしたのか、モンスターが動き出した。

自分で腰を振ると同時に、少女の体自体も上下にゆする。

小柄な少女の体を上下させることなど、大柄な彼らにしてみれば、むしろ自分でピストン運動するよりはるかに楽だった。


「あぎ、ひぎぃ、はぁんっ!壊れるぅ!気持ちよくてこわれるぅ!」

 半狂乱になって叫ぶ少女。

半狂乱ゆえに、少女は自分を完全に狂わせようとするものがすぐ後ろに来ていることに気づかなかった。


 先に来て、少女の中に精を吐き出したモンスターが、その巨砲を少女の菊座に向けていた。




「きひぃぃぃぃぃっ!」

 少女は、初めて度の過ぎた快感以外の理由で悲鳴を上げた。


 魔獣の肉棒が、少女の後の純潔を散らしたのだ。

排泄以外に使われたことのない肛門は、太い侵入者にメリメリという悲鳴を上げているかのようだった。


 だが二匹のモンスターは気にせずにめちゃくちゃに動き出す。

それは自分達の快楽のみを追求した動きだった。


 似たいのグロテスクな巨体に挟まれた、可憐な肉体。


 少女は、肛門から伝わる痛みに耐えていた。

だが、それはほんの一時だった。

少女はやがて痛みよりもはるかに大きな感覚を得た。


「ひゃっ!ひ、ひぐぅっ!き、きもち…いい…気持ちいい!」

 叫び、二匹のモンスターにはさまれた少女は、その限られた自由を駆使して、最大限に腰をくねらし始めた。


 その瞬間、その陵辱は陵辱ではなくなった。


「いん!はう!ひゃうぅ!ひうっ!きゃん!ああん!

 擦れてるぅ!私の中でおチンポが!おチンチンが!」

 薄い肉膜一枚越しに、二本のペニスがこすれあい、自分を犯している。

その事実を思うだけで、少女はよりいっそうの快感を覚える。


「いい!いいよぅ!お尻、いい!おマンコみたいで、いい!ケツマンコぃっ!ケチュマンコイイぃっ!」

 三匹の獣は互いの快楽を求め合い、そして偶然にも同時に絶頂を迎えた。


「あああああああああんっ!」

 少女が身を固くしたのと同時に、モンスターたちも爆ぜた。




「でっ!…出て…!?るぅっ…ふぅ!」

 自分の中を生暖かく粘ついたものが満たしている感覚を、少女は震えながら受け入れる。


 偶然にも、自分を犯している二匹は、片方がオス、片方がメスに対応する固体だった。

両者の生殖細胞が胎内で融合し、少女の中で複数の卵を作るのだ。


 もちろん、それはあくまで子宮内でのことであり、肛門で受精したところで、卵とし成長できない。

だがそんな生物学的都合など、少女のアナルを犯しているモンスターは知ったことではない。

ただ自分のすべてを搾り出すような勢いで、少女の腸内に白い粘液を注ぎ込む。


 やがて、永遠に続くとも思われた射精も終わり、二匹のモンスターは少女から肉棒を引き抜いた。


 中での支えを失った少女は、そのまま地面に落ちる。


 冷たく硬い床にたたきつけられた少女だが、彼女も悪魔。

その程度では傷つかない。


 自分の二穴から、呆れるほどに注ぎ込まれた粘液がこぼれるのを感じながら、焦点の合わない目を見開いている。


 そして、その目の焦点が合ったとき、少女は気づいた。


 自分の周囲に、先ほどの二匹以外にも、数匹の魔獣がいることに。

そして、穴の入り口からは、更にモンスター達が入ってきているということに。


 少女は気づいた。

彼らもまた、自分を孕ませたいのだと。


 気づいて、そして同時に歓喜を覚えた。


 マタ注ギ込ンデモラエル!マタ孕マセテモラエル!

 少女はふらつく体に鞭打って四つんばいになりモンスター達に知りをむける。

そして、左手でぽっかりと開いた肛門を、右手で蜜があふれ出す陰部を開いて、哀願した。





「たくましい旦那様方。


 どうかこの薄汚い私めにお情けをくださいませ。


 このふしだらなおマンコでも、ゆるゆるのケツ穴でもかまいません。

どうか私に旦那様方の肉棒を突っ込んで射精してくださいませ。


 そして、できることなら私の子宮というザーメン袋がパンパンになるまで射精して、この私を孕ませてくださいませ。


 お願いします、どうか私を孕ませてぇ…」



魔界、そこは弱肉強食の原理に支配された混沌の世界。

いかなる行為も力の前には許され、いかなる倫理も力の前には屈服する。


 その魔界の法則の前に、精神を壊された少女がいた。


 彼女は、魔獣達に繁殖のための道具に貶められたのだ。


 もともと彼女も悪魔。

貞操という観念はなく、同種の異性との性交はないものの、すでに肉欲に任せた苛烈な自慰や姉妹ともいえる同性との慰みにより、純潔とはいいがたかった。


 だが、魔獣たちの劣情は、少女の体験してきたすべてをはるかに凌駕し、その精神を焼き切った。


 少女はもはや生命体ですらないとも言えた。


 すべての内臓器官は、もはや魔獣達の卵を育てる子宮の維持のためだけに存在していた。


 たおやかな四肢は、もはや胎内に魔獣のグロテスクな生殖器を導き、生殖細胞の注ぎ込みを促すための器官に過ぎない。


 孕み人形。

それが、今の彼女の状態に、最も適した言葉だった。




 少女の陰部に、魔獣の巨大な根が突きこまれていた。


 普段なら嬌声を上げ、快楽に身を捩じらす少女だが、このときばかりは勝手が違った。


「だ、だめぇ!産まれるの!出ちゃうの!だから抜いてぇっ!抜いてぇ!」

 背面座位の状態から、必死に抜け出そうとする少女の腹は大きく膨らんでいた。


 彼女は臨月を迎えている。

ほんの一ヶ月前まで細くくびれていた腰は、子宮内で育った無数の卵達により、見る影もなく丸くなっていた。


「うまえぇっ!産まへるのぉ!ホントに産まれちゃうのぉ!ひぎぃぃぃぃっ!」

 白目をむいて、必死に暴れる少女だが、モンスターはその体を離さない。


 それは種を残すという意味では望ましくない行為だ。

だが、彼らにとって性交とは他の二大欲求に並ぶ至上命題。

彼らの主観からすれば、新たな命などそれによって生まれる副産物にすぎない。


 だから、いくら少女が訴えても、自身が達するまでその行為が終わることはない。


 むしろ、暴れる少女に興奮したのか、よりいっそう一物を硬くして、少女を突き上げる。


「ひぐっ!ひぎ!ああふぅっ!」

 少女がモンスターの上で、鞠のように跳ね上がった。




 激しい動きは、ある意味少女にとっては良い結果と、悪い結果をを生んだ。


 良い結果とは、激しい動きゆえ魔獣の絶頂が近くなったという点。


 そして悪い点は―――あまりの激しい動きに、魔獣の先端が、禁忌の領域にまで到達してしまった点だ。


「ひがぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 少女の体を、初めて魔獣の男根をくわえ込んだときに匹敵する衝撃が走りぬけた。


 魔獣の陰部の先端が、出産を控え、開きかけながら下がってきた子宮口を突きぬけ、子宮内部にまで到達したのだ。


 子宮内の卵は硬いからに包まれており、その程度の衝撃で割れることはなかった。

だが、それが少女にとって幸運だったかどうかはわからない。

肉棒に掻き混ぜられることで、無数の卵達が位置を変え、少女の子宮内面を転がりだした。


「―――っ!ぁぁっ!」

 今まで体験したことのない異様な感触に、少女は口を開きながら、声にならない悲鳴を上げる。

その姿が魅力的に移ったのか、子宮口突破に際し一度動きを止めた魔物は、再び運動を再開した。


 まずは、ゆっくりと肉茎を引き抜く。


「あ、あ、あ、あっ……っ!」

 引き抜かれるにつれて、大きく開ききった子宮口から卵が膣を通って外界に向かう。


 だが、ペニスが完全に引き抜かれる直前、今度は陰茎が、膣にゆっくりと沈められ始めた。


「ぅ、きゅぅ……ふぅくぅっ…!」

 それに従い卵も子宮内に押し込まれる。

それによって肺腑に掛かる圧力と。

未体験の感触に、少女の口から悶絶の声が漏れる。


 そして、魔獣の先端が、再び子宮内部に突きこまれた。


「ひひゃん!」

 子宮内部で卵がごりゅごりゅと動き回った。

二度目のその感触を、すでに開発され尽くした肉体は、痛みとも不快感ともとらなかった。


 それは、少女が得た、新たな種類の快楽だった。


「んんあぁぁぅっ!」

 その新たな感触に、少女は絶頂を迎えた。




 少女の絶頂が終了するまで、魔獣は待っていなかった。


 卵も少女もお構いなしに腰の振りを激しくする。


「かふっ、きゃぇ!ああっ!あんっ!ひぐぅ、いやん!はうっ!」

 静止を求めることもできず、少女はその最奥までを犯しぬかれる。


 やがて魔獣の動きの速さが、限界近くに達し…

「ああああああああああああっ!」

 少女がひときわ強烈な絶頂を迎えたと同時に、魔獣は少女の子宮に、直接粘液を流し込む。


 魔獣のペニスがビクビクと震えると同時に、少女の四肢も痙攣する。


 やがて、射精が終わりペニスが引き抜くと、魔獣は少女を放り出すように床に置いた。


 仰向けにされた少女は、口元からこぼれる唾液を拭くこともせず、焦点の合わない目で自分の陰部を見つめる。


「……ぅぁ」

 少女が呻いてから、膣から白い球体が一つ、姿を現した。


 それは魔獣の汚液にまみれた、卵だった。




 それを皮切りに、続けて卵が生み出される。


「う、産まりぇ、たぁ…」

 呂律の回らないまま、少女は笑顔で身を起こす。

そして両足を抱え股を開き、軽くいきむ。


 それによって排卵の勢いが更に増した。

魔獣と少女の体液にまみれた卵が排泄されるたびに、彼女の腹が小さくなっていく。


「あ、ああっ……うまりぇてるぅ…。

見てぇ、産まれてるのぉ」

 魔獣に向けて、自らの出産の様子を見せる少女。

その頬は、高潮していた。

羞恥心ではない。

少女は卵が膣を通り抜ける感触に……出産の感触に性的な快感を得ているのだ。


「はぅぅんっ!

 やがて、最後の卵がひりだされると同時に、少女は倒れた。


 苛烈なまでな快楽の嵐と出産は、彼女の体力を極限まで絞りと尽くしたのだ。


 彼女が産んだ卵は、あとで魔獣たちが持っていく。

その後どうなるかは彼女の知るところではない。

だが、おそらく彼らが育てるのだろう。


 ひょっとしたら、育った子供達が自分を孕ますためにやってきてくれるかもしれない。


(素敵…)

 壊れた彼女の精神は、その近親相姦じみた事象すら、素敵と評した。




 闇に沈みかける彼女の視界で、今まで自分を犯していたモンスターが卵を集め始めていた。


 まるで先ほどまでの粗暴さが嘘のように、やさしげな手口で魔獣は卵を集める。


 だが、それが終わるより先に、突然、魔獣の頭が胴体から切り離された。


 断末魔すらなく魔獣は倒れ、切断面から噴出した血が、少女をぬらす。

だが、もはや意識の殆どが闇に飲まれた少女は、それに対して行動どころか感情すら抱けなかった。


 ぼやけてきた視界に、魔獣の首を刎ねた者達の姿が見えた。

それは、少女と同じ人間に酷似したシルエットだった。

だが彼女とは違い、額に角があった。


 それは彼女や魔獣たちより、さらに生態系の上位に立つ、知的な悪魔だ。

だが、そこまでだった。

それを知った時点で、彼女の意識は完全に闇に飲まれた。






「卵があるぜ」

「産み立てみたいだな。

ご馳走だぜ。

ん?何だ?

 ……おい、これ見ろよ」

「苗床にされていた下等悪魔か。

ちょうどいい。

こいつも持ち帰りだ」

「ああ、ちょうどこの間。

一つ苗床がつぶれたところだしな」



 額に角を持つ彼らは、魔界全体に見てもかなり上位の悪魔だった。


 高い知性と頑健な肉体をもつ。

その生活スタイルは遊牧を基本としていた。


 魔獣を飼いながら、ゆっくりと移動している。

魔獣を飼う理由はいろいろあった。


 彼らにとって魔獣は輸送手段であり、装飾品の材料であり、そして何より、食料だった。






 あの悪魔の少女は生きていた。


 今、少女がいるのは穴倉ではなく、粗末ながらも屋根と壁のある小屋だった。


 その小屋の中で、少女は大きく膨らんだ腹を抱えながら、自らの胸をいじっていた。


「はぁっ…はぅ…んっ」

 荒い息遣いで、少女は自分の胸を外周から中心―――乳首に向けて絞っていく。


 そして絞られた乳房は、その乳首から白い液体を射出した。

母乳だ。


 母乳は、彼女の目の前に置かれた器にたまっていく。


 彼女が自身を搾乳することに熱中しているところに、額に角を生やした悪魔がやってきた。


「おい!ミルクはもう出たか?」

「はっ…はいぃっ」

 少女はおびえながらも、しかしどこか陶酔した表情でミルクの入った器を差し出す。


 それを受け取った悪魔は、特に何の表情も見せてこなかった。

どうやら期待以上というわけでもないが、不足というわけでもなかったらしい。


「よし、腹を出せ」

「は、はいっ!」

 少女は表情を輝かせ、自分の膨らんだ腹を差し出す。

その目には、与えられるであろう快楽への期待に満ちていた。




 だが角のある悪魔にとって、少女の悪魔は家畜に過ぎず、その杞憂など些事だった。


 悪魔は少女の膨らんだ腹に手をやると、魔法を展開した。


「んんああああぁぁっ!」

 魔力を受けたとたん、少女は悶える。


 藁の敷かれた床に崩れ落ち、体を痙攣させ

「ひぅっ!」

 そして陰部から卵を産んだ。


 出てきた卵は表面に無数の突起があるものだった。

大きさも以前彼女を飼っていた魔獣たちのそれに比べて数倍の大きさだった。


 それが数個、少女の媚肉を書き分けて生み出された。

一つ出るたびに、彼女は絶頂を迎えて体をビクつかせる。


 やがてすべてを生み終えたとき、少女は力なく横たわりながら、快楽の余韻に身を任せていた。


 悪魔は、その少女を一瞥することすらなく、産み落とされた卵を拾い上げ、その場を去る。


 だが、小屋を出る前に、一度だけ振り向いた。


「おい、今度はミノスを孕んでもらう。

午後からだ。

準備しておけ」

 ミノス、それは牛形の巨獣だった。

その巨体に見合うほど、陰茎も子供も大きい。

それを受け入れ出産する。

そんな自分の姿を想像し、少女は期待に身を震わせる。


「は、はい……わかり、まひた…」

 自分を待ち受けているであろう『極楽』を夢想しながら、孕み人形は眠りに付いた。