kimamamh5260170


社会人になり、出会いもなく、暇潰しにと、出会い系サイトで一人の女性とメールのやりとりをするようになった。


彼女は33歳の独身で、自己PRには「名前は沙希。

小柄で童顔」と書いてあった。


俺とは10歳年の差があったけど、年上で童顔がタイプの俺にとっては絶好の相手が見付かったとその時は思った。


二月程、メールのやりとりをして、仲良くなったある日、こちらから

俺「今度の日曜日もしよかったら会ってみたいな。


と送信すると、

沙希「いいよ。

でも期待しないでね。


と、すんなりと会うことになった。


出会い系は初めての事で、まだ写メの交換もしていないのでお互いの顔も知らず、ましてや電話で声も聞いたことがなかったので、かなり緊張したけど、どんな人なのか、勝手に理想像を頭の中で描いていた。


そしてその日を迎えた。


日曜日の昼12時にデパートの時計台前の入り口で待っていると、グレーのタイトスカートを履いている小柄の女性が数メートル先にいた。


メールで当日の互いの服装等を言っていたので、この人に間違いないな、と思った。


高鳴る鼓動の中、こちらから声をかけてみた。


俺「ど、ど〜も。

さ、沙希さんですか?」

すると、彼女はこちらを振り向き、




沙希「あっ、ど、ど〜も。

はじめまして。


お互い照れながら、笑顔で会釈を交した。


彼女を見ると、本当に童顔小動物っぽい顔で、小さな粒羅な瞳が可愛く、とても30代には見えなかった。


俺「沙希さん。

か、可愛いですね。


思わず口に出てしまった。


沙希「そ、そんな事ないよ。


恥ずかしそうに手を振りながらリアクションする姿がまた可愛いかった。


俺「と、とりあえず食事でもしましょうか?」

緊張のあまり、目を反らしながら、町の中を歩いて行った。


彼女は時折、無言でチラチラとこちらを見ながら、歩いていた。


本当に小動物っぽい動きをするなぁ。

とその時はそれくらいしか思わなかった。


それから数分歩いた後、とあるパスタ屋さんへ入った。


沙希「まだ、緊張してる?w」

彼女の方から口を開いてきた。



俺は面と向かってはまだ恥ずかしく下を向きながら話していた。


俺「あっ、まだちょっと。

沙希さんは?」

沙希「そ、そうだね。

ところで○○くんの名字は?」

いきなり、名字を聞くなんて、変わった人だな?と思ったけど、

俺「○○です。


と答えると、

沙希「ふ〜ん。

中学は○○中だったでしょ?」

えっ!?なんで俺の母校知ってんの?

俺は驚いて、彼女の顔をマジマジと見ると、思わず声が出てしまった。


俺「あーー!!!」

沙希「ふふ。

おばさんになっちゃったから、なかなか思い出せなかったかな?」

なんと、彼女は、中学の時の音楽の教師であった。


俺「も、もしかして○○先生?」

もう答えを聞くまでもない。


沙希「まさか、こんな形で再会するとはね(照れ笑)」

俺「プロフィールには事務の仕事って書いてあったけど?」

沙希「あれは嘘だよ。

教師なんて載せるといろんな面でよくないでしょ。




俺「まっ、まぁ、そうですよね〜。

先生まだ独身なの?」

沙希「そうだよ。

婚期を逃してしまったのかなw」



〜〜〜

当時の事を少し思い出してみた。


先生は昔から童顔で、新任と言う事もあり、よく生徒から馬鹿にされていた。


それでもめげずに一生懸命頑張る姿が好きで沙希先生は憧れの先生であった。


そんな沙希先生と初めて話した時の会話を思い出した。


音楽の授業で声楽のテストがあり、その放課後、廊下で沙希先生とすれ違った。


沙希「○○くんって歌上手いね。

声楽とかやってるの?」

俺「えっ?別に何もしてないですよ。


沙希「そうなのか〜。

これから音楽の勉強いっぱいしてみれば?」

あまり興味のなかった俺は適当にお辞儀をして別れた。


それから学校ですれちがう度に、話し掛けてくれるようになり、今流行りの音楽の話とかするようになった。


そんなある日の音楽の授業の時、クラスの半数以上が私語をしだして、授業どころではなくなってきた。


何度か沙希先生が注意しても全く皆聞かず、騒ぎは収まらなかった。


しかし遂に沙希先生もキレてしまい、

沙希「もういいかげんにして!!」

そう言うと、教科書を投げ捨てて教室の外へ出て行ってしまった。


一瞬皆唖然としてしまったが、また騒ぎ始めた。


俺は先生の事が気になったが、どうする事もできなかった。


放課後、気になったので、音楽準備室を覗いてみると、沙希先生は座ってテストの解答らしき作業をしていた。


俺「先生?元気?」

すると沙希先生はビックリしてこちらに振り向いた。


沙希「あっ!○○くん..」

やはりちょっと元気がなかった。


俺「先生、ごめんなさい。

俺等のクラスうるさくて..」

沙希先生は少し涙目になりがら、

沙希「ううん。

感情的になった先生が悪いの。

ありがとね。

○○くんは優しいね。


この後も、先生を励ます為に面白いギャグを言って、笑わせたりした。


そして、月日が経ち、三年生になった始業式の時、沙希先生が急に異動になった事を聞かされ、突然の事で、ショックが大きかった。


別れの挨拶くらいしたかったなぁ。

と悔やまれた。


しかし、受験に追われるようになると沙希先生の事は日に日に忘れていった。


あれから、10年の時が経ち、思わぬ形での再会となった。


そんな昔の話をしながら、沙希先生と話が盛り上がった。


沙希「いや〜、昔は若かったよぉ。

○○くんも立派な大人になったね。

でもあの時の面影はまだあるよ。


俺「先生今でも若いじゃん!昔と変わりないよ。


沙希「そっかな?そんな風に言ってくれると嬉しいよ。


俺「先生、カラオケ行こうよ!」

沙希「大賛成!」

パスタ屋さんを放れ、カラオケ店へ直行した。


さすがに音楽の教師だけあって先生の歌は人一倍上手い。


俺「さすがに先生上手いね!」

沙希「○○くんも上手いよぉ。

なんか声懐かしい。


お互い誉め合いながら時は流れ、あっと言う間に、外は真っ暗になってしまった。


俺「先生、今日はありがとね。


沙希「お礼を言うのはこっちでしょ!メル友が元教え子って想像もしなかったけど、○○くんが相手で良かったよ。


俺「俺も先生にまた逢えて良かったよ。

また連絡するね。


正直、別れるのが名残惜しかった。


沙希先生はコクリと頷き、笑顔でバイバイしてきた。


俺も手を振り、沙希先生の顔が見えなくなるまで振り続けた。


そして、駅の改札口でキップを買おうとした時、誰かにグイッと服を引っ張られた。


焦って、振り向くと、そこには沙希先生がいた。


俺「せ、先生!?どうしたの!」

沙希先生は既に泣いており、

沙希「な、なんか、また放れると、もう二度と会えない気がして。

耐えられなかった。

○○くんもう少し一緒にいてほしい。


俺「実は俺も放れたくなかった。

あの時、急に先生がいなくなってショックだった。

もう、ずっとずっと一緒にいたい!」

思わず、口に出た言葉は、先生に対する告白であった。


先生は、小さい手でギュッと俺に抱きついてきて、

沙希「おばさんになった先生でもいいんですか?」

俺は即答、

俺「可愛いお婆さんになってもずっと一緒だよ。


先生は、さらにワンワン泣きながら、俺を強く抱き締めてきた。


俺も、更に強く先生を抱き締めていた。


あれから半年後の今月、先生、いや沙希と結婚する事になりました。


沙希は、一生かけて幸せにします。